| 研究課題/領域番号 |
24591600
|
|---|
| 研究種目 |
基盤研究(C)
|
| 研究機関 | 京都大学 |
|---|
研究代表者 |
水岸 貴代美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70518448)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| キーワード | 胎児医学 / スフィンゴ脂質 |
|---|
| 研究概要 |
同種移植片である胎児が母体内で拒絶されず、平和的に共存するメカニズムは何か？流産が起こるメカニズムは何か？スフィンゴ脂質代謝に異常があり、習慣性流産様の症状を呈するモデルマウスを用いて、この謎に迫る。
1. スフィンゴ脂質代謝経路の遮断によって引き起こされる流産のメカニズム ー 流産を引き起こす原因となる分子、特にケモカインやサイトカインに着目し、スフィンゴシンキナーゼ遺伝子改変マウスの解析を行った。その結果、胎児を取り囲む脱落膜領域において、好中球遊走因子の発現が著明に増加していた。さらに、その部位に一致して好中球が異常に浸潤しており、これが胎児の早期死亡の主要な原因と考えられた。
2. 流産の治療薬の開発 ー 異常高値の発現を示している好中球遊走因子の阻害剤を妊娠マウスに投与したところ、脱落膜領域の組織障害は軽減し、胎児死亡率の改善がみられた。したがって、この好中球遊走因子は流産の治療の標的となる可能性が示唆された。
3. ヒトの生殖器系におけるスフィンゴ脂質代謝の意義 ー ヒトの妊娠におけるスフィンゴ脂質代謝の生物学的意義はほとんどわかっていない。倫理委員会の承認を得て、妊娠初期に人工妊娠中絶または自然流産したサンプルを入手し、解析を行った。ヒトの脱落膜組織から脱落膜細胞を単離・培養した後、スフィンゴシンキナーゼの阻害剤を投与し、脱落膜細胞上清中のサイトカインなどの発現を現在検討中であり、非常に興味深い結果が得られつつある。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従い、順調に研究を進めており、非常に興味深い結果が得られている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
実際に実験を進めた結果、当初の研究仮説は妥当であることが実証された。したがって、今後も現在の実験計画を精力的に推進していく予定である。実験データがある程度、揃った段階で論文の投稿準備も進めていく。
|
| 次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、他の助成金もあり、翌年度への繰越金が生じた。次年度は、さらに実験規模を拡大して、物品購入、動物飼育費などに研究費を投入する予定である。
|
