研究課題/領域番号 |
24591602
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
坂田 ひろみ 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (50294666)
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研究分担者 |
福井 義浩 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50144168)
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キーワード | 概日リズム / 脳発達 / 深部体温 / 明暗周期 / 母仔分離 / ラット |
研究概要 |
本研究は、幼若期の摂食リズムが、概日リズムやその調節機構の発達にどのような影響を与えるかについて検討することを目的としている。平成24年度に行った哺乳期ラットにおける母仔分離実験では明期/暗期の切替え時刻と同じタイミングで母仔の同居/分離を行っていたため、得られた変化が光環境の変化によるものか、母獣との同居または分離によるものなのかが不明であった。そこで平成25年度は、明期/暗期の切替え時刻から3時間後に母仔の同居または分離操作を行い、仔の深部体温の変化を観察した。Wistar-Hannoverラット仔に、体温モニタ用送信器の腹腔留置を施し、12h/12hの明暗周期下で飼育した。生後13~19日に、母獣との同居/分離を明期開始3時間後から12時間(L-3群)又は暗期開始3時間後から12時間(D-3群)行った群を作製し、この間の体温変化を5分毎に観察した。L-3群では、平成24年度のL群(明期12時間に母獣と同居)同様に明期の開始時刻(ZT0)に急激かつ一過性の体温低下が認められた。このことより、一過性体温低下は母獣との同居/分離リズムより明暗周期に同調することが明らかとなった。さらに、明恒常明(同調因子としての明暗周期が無い条件)下で飼育した仔ラットにおいて、12時間毎に母獣との同居と分離を繰り返し、仔の深部体温の変化を観察した。その結果、母獣との同居が主観的活動期であっても主観的休息期であっても、一過性体温低下の出現は母獣との同居を開始する直前(母獣分離をしてから約12時間後)であった。以上より、哺乳期ラットにおける急激かつ一過性体温低下は母獣との同居/分離周期よりも明暗周期に強く同調するが、Zeitgeber(同調因子)としての光環境が無い場合は母獣との同居/分離周期に同調する性質があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は実験計画書に従って、明暗周期のない環境下(恒常明)における哺乳期ラットの深部体温変化の観察を行い、哺乳期ラットにおける急激かつ一過性体温低下はZeitgeber(同調因子)としての光環境が無い場合には母獣との同居/分離周期に同調する性質があることが明らにした。さらに平成24年度の成果を踏まえて、計画書には記載していない条件である、明期/暗期の切替え時刻と異なるタイミングで母仔の同居/分離を行うことで、哺乳期ラットにおける急激かつ一過性体温低下は母獣との同居/分離周期よりも明暗周期に強く同調するという重要な所見を見いだすことができた。これらの成果は国内専門学会での発表することになっており、国際専門誌への投稿準備も進めている。よって、本研究は概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、研究実施計画に従い、明暗周期のない環境下(恒常暗)での哺乳期ラット深部体温リズムの観察をすすめ、同じく明暗周期のない環境である恒常明の場合(平成25年度に実施)と比較する。また、明暗周期のない環境下(恒常明または恒常暗)で飼育中の仔ラットで、12時間毎に母獣との同居と分離を繰り返し、深部体温リズムを母獣との同居/分離周期に同調させた場合や、明暗周期と母仔同居/分離周期を解離させた場合に、概日リズムの中枢である視交叉上核におけるリズムや末梢組織におけるリズムがどのように変化するのかを明らかにするため、時計遺伝子等の発現リズムの解析を進める。さらに、哺乳期に光環境や母仔分離により概日リズムを撹乱した場合、成熟後の概日リズムや行動がどのように変化するのかを、時計遺伝子等の発現リズムの解析や行動試験を実施することで明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年3月納品となり、支払いが完了していないため次年度使用額が生じた。 平成26年度4月に支払完了予定である。
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