研究概要 |
拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging; DTI)は比較的新しいMRIの技術で、通常のMRIでは検出できないような微細な脳障害、特に白質の障害を評価するのに有用な手法である。早産児に対してDTIを用い、脳の諸領域の拡散パラメーターを算出し、3歳時の発達を評価し、更に各パラメーターと発達指数との相関関係を検討することで発達予後の評価に応用することを目的に、京都府立医科大学附属病院NICUに入院し、退院前(修正40週前後)のルーチンに施行されている頭部MRI検査に同意し、同意書に署名をしていただいた患者を対象として、得られたMRIの拡散強調画像のデータを解析した。 トラクトグラフィー法のための画像解析ソフトにはPRIDE(Philips社)を使用し、以下の報告の方法で、白質路を描した(Murakami et al. Pediatrics 2008, Stieltjes et al. Neuroimage 2001, Huang et al. Neuroimage 2005)。運動路、感覚路については、関心領域を大脳皮質、内包、橋のそれぞれ解剖学的に運動路、知覚路が走行していると考えられる部位に一定の大きさで設定した。また、小脳脚については、上小脳脚は上小脳脚交叉と歯状核に、中小脳脚は中小脳脚と小脳半球に関心領域を設置して白質路を描出し、脳梁線維については、脳梁線維が通過する部位によって4つに分けて評価を行った。膝部は両側前頭葉の前頭前野に、体部は両側前頭葉の運動関連野に、狭部は両側頭頂葉腹側に、膨大部は両側後頭葉と頭頂葉背側に各々関心領域を置き、脳梁の各部位を走行する白質を描出し、描出された各白質路における拡散パラメーター (FA, ADC)を算出した。今年度は、これまでに蓄積されたDTIのデータの解析と該当症例の3歳時の発達検査のデータを収集した。
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