研究課題/領域番号 |
24591612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
桑形 麻樹子 昭和大学, 医学部, 客員教授 (70398684)
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研究分担者 |
柴藤 淳子 昭和大学, 医学部, 普通研究生 (10611121)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | DOHaD / 遺伝子解析 / 新生児期栄養環境 / マウス / 発達障害 |
研究概要 |
これまでに我々は胎生期に栄養環境を変化させ、妊娠末期の母体および胎児の遺伝子解析を実施し、栄養環境により疾病発症に関係する遺伝子の選抜を行ってきた。本プロジェクトでは生後の栄養環境を変化させて出生児の遺伝子解析を実施し、胎児期の遺伝子解析結果と併せて発達障害や成人期疾患発生機序に関与する遺伝子の選抜を試みている。 平成24年度は動物実験を行った。すなわち、50%制限給餌群、高脂肪食群、通常食群(対照群)の3群を設定し、分娩日から哺育期間中に栄養環境を変化させた。その結果、50%制限給餌群では哺育5日以降に食害がみられたために制限給餌期間を1週間にし、それ以降は対照群と同様に飼育にした。すべての群は生後3週に離乳させ生後10週まで飼育した。生後7日、離乳時、生後10週に動物を解剖し、オミクス解析用および病理組織学検査用に組織(脳、脾臓、腎臓、脂肪、血液)をサンプリングした。また、出生児体重、出生児生存率も調べた。 その結果、哺育期間中の児の生存率は50%制限給餌群で対照群と比較して低く、出生児の体重も低値に推移したが、離乳後の生存率および生後10週の体重には対照群と差はなかった。また、高脂肪食群では、母動物の営巣行動が対照群と比較して乏しくなったが、児の生存率および体重には差はなかった。また、同群では児の脾臓の大型化が哺育期間中に観察されたが、生後10週には対照群と差はなかった。 次年度はサンプリングした組織の病理学検査およびオミクス解析を順次開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は動物実験を実施した。動物実験計画時には給餌制限期間を哺育期間中の3週間と設定したが、母動物による児の食害が観察されたために制限期間を1週間に短縮した。これ以降、哺育状態は回復した。動物実験は無事に終了し、計画どおりに組織のサンプリングが終わっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度にサンプリングした出生児組織(血液、脳、肝臓、腎臓、脂肪)の遺伝子解析を行い、 胎生期栄養環境変化後の胎児組織における遺伝子解析結果との比較を行う。サンプリングは生後7日(新生児期)、生後21日(離乳時)、生後70日(成人期)の3点で行ったが、まず成人期のサンプルから遺伝子解析を行い、我々が既に得ている胎生期の栄養制限により得られた胎児組織での遺伝子解析の結果と発現の増減を比較解析して、出生前後によりどのような遺伝子群が逆向きの発現をするかを検証する。候補遺伝子が選抜されたら、生後21日および生後7日と遺伝子解析を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
DNAマイクロアレー解析を複数回実施するために、遺伝子解析に必要な消耗品を購入する。チップやキット試薬はやや高額であるために、研究費の大半はこれらに使用する予定である。その他、免疫組織学観察のための抗体等を購入する予定である。
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