研究課題/領域番号 |
24591618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
渋川 幸直 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, 研究員 (90393264)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | NTD / アクチン細胞骨格 |
研究概要 |
作成したCNN3ノックアウトマウスの解析でホモ欠損マウスは約25%が脳ヘルニアと眼瞼閉鎖障害の表現型を示し出生時に死亡することが明らかとなった。眼瞼閉鎖障害に関してはその過程で発生する遊走性ケラチノサイト(peridermal cell)の発生に障害が生じることがその一因であることを見出している。脳ヘルニアの表現型に関しては胎齢期8.5から10.5の頭部神経管閉鎖過程に着目して現在解析を進めている。また約50%のホモマウスは出生しても生育せず、生育する残り25%のホモマウスは野生型に較べ小さい個体が多かった。この事から子宮内発育遅延(IUGR)の表現型の有無に関して解析を進めている。 生育する25%のマウスに関しては雌マウスの妊孕性が低い傾向を見出しておりその有意差の検討を進めている。筋再生実験に関してはホモマウスでCTXによる筋損傷からの再生が遅れている傾向を見出した。この結果は昨年度我々が発表したマウス筋芽細胞株C2C12においてCNN3をノックダウンした細胞では筋管細胞への分化誘導が亢進するという結果と異なる為、ホモノックアウトマウスからの筋幹細胞(STC)の単離とin vitro分化誘導実験による追試を行う予定である。 また創傷治癒に関してその過程では目立った差違は認められなかった。この結果も単離した線維芽細胞でCNN3をノックダウンすると細胞の移動能・収縮能共に減少するという昨年度に報告した我々の知見とはことなるため、ホモノックアウトマウスから線維芽細胞を単離した後に追試を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね初年度に計画していた実験計画は達成している。筋衛星細胞(STC)の単離培養やCTXによる筋損傷からの筋再生を判定する系も問題なく立ち上げることが出来た。初代培養細胞や細胞株を用いたこれまでの研究結果とは若干差違も認められるがその理由もおおよその検討が付いている。
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今後の研究の推進方策 |
頭部神経管閉鎖障害に関しては胎齢期8.5-10.5に着目し神経上皮細胞の増殖とアポトーシス細胞の数に差が確認されるか各種マーカーを用いた組織染色で判定を行う。またCNN3はアクチン細胞骨格系の調節因子であることから神経上皮細胞のneural grooveとdorso-lateral bending pointにおけるF-アクチン集積に差がみられることが予想されるため、ファロイジン染色を行った後に各種PCP制御遺伝子の分布パターンに関しても検討を行う。更に神経堤細胞の遊走に関してもPax3等のマーカー遺伝子を用いて差の有無を解析する予定である。眼瞼閉鎖障害に関しては遊走性ケラチノサイト(peridermal cell)の発生に障害が生じていることを見出しているのでケラチノサイト・上皮細胞の単離培養を行い遊走性に差が認められるか解析を進める。 妊孕性とIUGRに関しては現在統計処理を進めているので有意差が認められれば雌マウスで子宮の閉鎖過程や胚受容性と胎盤発生やその機能に関する解析を進める予定である。創傷治癒過程に関してはin vitroの細胞移動、収縮でも有意差が認められなければ機能が重複しているであろうCNN2とのダブルノックアウトマウスの作成を検討している。 筋再生に関しては筋幹細胞(STC)の単離培養後に分化誘導を行い差が認められるか確認を行った後に細胞の運動性や細胞融合過程に関してタイムラプス観察を行う。またホモノックアウトマウスから単離したSTCにおいて変異型CNN3の強制発現を行い分化能に差がみられるか解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はノックアウトマウスの系統維持、繁殖にかかる費用に加え組織切片や全胚を用いた組織染色に関するが多くなるため各種マーカー遺伝子の特異的抗体や関連試薬の購入が最も多くなると予想している。また学会参加も計画しているため出張旅費も計上した。
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