研究課題
カルポニン3(CNN3)ノックアウトマウスの主な表現型として34%の個体で神経管閉鎖障害(NTD)が認められた。神経管閉鎖過程においてCNN3は神経上皮細胞のアピカル領域に強くリン酸化した状態で局在していることが確認されF-アクチンとの共局在が認められたが、ホモノックアウトマウスではF-アクチンの集積が弱くミオシン軽鎖のアピカル領域への局在が認められずリン酸化レベルも低いことが明らかとなった。またCNN3と会合する分子としてミオシンIIA(MHCIIA)を同定した。MDCK細胞を用いてその局在を確認したところCNN3の主なリン酸化部位である293番目と296番目のセリン残基のリン酸化に依存して会合している事が分かった。この部位をアラニンに置換した変異体やC末のリン酸化領域を欠損させた変異体ではCNN3だけでなくF-アクチンとの共局在も起こらなかった。神経管閉鎖過程でもMHCIIAはCNN3、F-アクチンと共局在していたがホモノックアウトマウスでは認められなかった。これらの事からCNN3ホモノックアウトマウスのNTDは神経上皮細胞アピカル部の収縮力が低下することが主な原因であると考えられる。さらにCNN3キナーゼとして同定しているROCK1/2の局在を調べた所ホモノックアウトマウスではアピカル部への局在が抑制されていた。またROCKの局在を制御するShroom3の局在も認められなかった。このことからCNN3は神経上皮アピカル部のアクトミオシンケーブルの安定化をとおしてShroom3-ROCK1/2の局在を制御することで神経管閉鎖過程で必要な収縮力を生み出す事に貢献していると考えられる。
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The Journal of biological chemistry
巻: 289 ページ: 2620-2631
10.1074/jbc.M113.504787
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http://www.mch.pref.osaka.jp/research/molecular/index.html