研究課題/領域番号 |
24591619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 圭 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (20421977)
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研究分担者 |
新熊 悟 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00613788)
西江 渉 北海道大学, 大学病院, 講師 (20443955)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 皮膚生理学 |
研究概要 |
17型コラーゲン(COL17)はヘミデスモゾーム構成分子の一つであり、表皮真皮間接合に重要な生理機能を有する。一方、創傷部位で表皮基底細胞が遊走する際、COL17と細胞外マトリクス間の接着は解除される必要があるが、その詳細は未だ不明である。本研究の目的は、表皮基底細胞の遊走におけるCOL17の生理機能を解明することである。 平成24年度は、COL17を発現制御し蛍光イメージングする目的で、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子を発現するTet-on Advanced vectorを、表皮水疱症患者由来COL17発現(-)表皮基底細胞へ遺伝子導入し、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子を発現するホスト細胞の作製を試みた。リポフェクションでは遺伝子導入効率が悪かったためエレクトロポレーションも試みたが安定発現細胞株は得られなかったため、レトロウイルスによる遺伝子導入を行い、COL17発現(-)かつテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(+)ホスト細胞の作製に成功した。現在、ヒトCOL17 cDNAおよびCOL17 cDNAかつIRES配列下にGFPを組み込んだコンストラクトをそれぞれpTRE tight vectorへ導入し、レトロウイルスベクターへの載せ替えを行っている。そのほか、表皮水疱症患者由来COL17発現(-)表皮基底細胞へ、レトロウイルスを用いCOL17 cDNAの下流にIRES-GFPを組み込んだコンストラクトを作製後遺伝子導入し、発現導入した細胞でCOL17が正しく膜タンパクとして発現することをウエスタンブロットにより確認した。作成した細胞系を用いると、COL17発現の有無をGFPで確認することが出来るため、表皮基底細胞の遊走におけるCOL17の生理機能の解明が可能となると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培地へDox投与することでCOL17の発現誘導が可能となるTetシステムを応用した発現系は、3遺伝子を操作する必要があるため、コンストラクト完成には至っていない。しかし、遺伝子導入法を変更することでホスト細胞作製に成功しており、確実に進捗しつつある。COL17自体の発現量の制御は出来ないが、GFP蛍光発現の有無によってCOL17の発現の有無を認識可能な新たなシステムの構築に成功した。本細胞では、COL17を発現する表皮細胞のみがGFP蛍光を発色するため、GFP陰性でCOL17発現の無い細胞と比較することで、遊走能の違いを、ダイナミックに観察することが可能となる。従って、今後も研究を継続するには支障は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
COL17の発現の有無による表皮基底細胞の動態を、adhesion assay、migration assayにより明らかにする。タイムラプス観察を行う際、COL17-IRES-GFPコンストラクトを導入した表皮細胞と、GFP、COL17いずれの発現も無いコントロール細胞を混合して培養を行う。COL17を発現する表皮細胞のみがGFP蛍光を発色するため、GFP陰性でCOL17発現の無い細胞と比較することで、遊走能の違いを、ダイナミックに観察することが可能となる。そのほか、培地へDox投与することでCOL17の発現誘導が可能となるTetシステムを応用した発現系の作製も継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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