研究課題
基盤研究(C)
①角層細胞を粘着テープで剥離し、コルネオデスモソームの構成成分を蛍光交代法で検出することにより、魚鱗癬やアトピー性皮膚炎では特徴的なパターンが得られることが分かった。特に炎症型ピーリングスキン病ではコルネオデスモシンが欠損していることが容易に検出できるため診断的価値が高いと思われた。②表皮の最も重要な機能は生体と外界との境界面に物理的バリアを形成することである。その機能をになうバリア構造の実態は角質層とタイトジャンクション(TJ)と考えられている。現在、表皮においてTJは顆粒層の上から2層目(SG2)に存在するという考えが広く受け入れられている。しかし、我々や他の研究グループは表皮角層内にTJ由来と思われる細胞間接着構造をみとめていること、および、角層とSG2の間に介在する顆粒層最上層(SG1)が何のバリア構造も持たない層であるという考えは表皮がはたすべきバリア機能の重要性の観点から不自然と考えたため、我々は表皮におけるTJの実際の局在様式を微細構造的に検討した。まずヒト表皮の垂直切片および、表皮剥離シートにおける蛍光抗体法によって、occludin抗体陽性のTJ関連構造が表皮顆粒層の複数層にまたがって存在することがわかった。さらに同抗体を用いた免疫電顕法によって、SG1、SG2に形態的にTJと考えられる細胞間接着構造が存在し、これらはoccludin抗体陽性であることからTJであることを確認した。またヒトとマウスの皮膚をcolloidal lanthanum nitrate含有液に浸透したところ、浸透はSG2のTJでブロックされる場合と、これは通過してSG1のTJでブロックされる場合があることがわかった。また層板顆粒の細胞外への分泌はSG1のTJ形成レベル以下から始まっていることもわかった。
2: おおむね順調に進展している
上記の成果の他、後述の学会、論文発表にて成果を報告することができているため。
学会発表した粘着テープ剥離角層細胞をもちいたコルネオデスモソームの解析についての研究成果を論文発表する。現在進行中の、アトピー性皮膚炎の皮疹部、無疹部における角層細胞のカリクレイン7の発現と、角層剥離酵素活性の研究成果を国際学会で発表するとともに、論文化する。皮膚バリア機能に関連する新規分子の細胞内局在に関する研究をすすめる。
物品費によって研究試薬を購入する。成果を国際学会で発表する場合は旅費に使う。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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