研究実績の概要 |
アトピー性皮膚炎とその関連疾患(尋常性魚鱗癬, Netherton症候群、炎症型ピーリングスキン病)の病態の違いを非侵襲的にテープストリップにより剥離した角層細胞をもちいる方法で検討した。剥離細胞上の3種のデスモソーム構成分子の分布、細胞の大きさを比較したところ、疾患ごとに特徴的なパターンがみられ、臨床的有用性が示唆され、さらに炎症型ピーリングスキン病ではコルネオデスモシンの欠損のスクリーニング検査としての有用性を報告した(J Dermatol Sci, 2013 Oct;72:54)。 コルネオデスモソームに特有の分子であるコルネオデスモシンの遺伝子異常による疾患である炎症型ピーリングスキン病の日本人患者の遺伝子解析を行い、遺伝子の完全欠損によっていることをつきとめるとともに、本症における表皮剥離は層板顆粒の分泌と同期して生じていることをつきとめ(Exp Dermatol, 2014 Jan;23:60)、さらに他の地域の患者のハプロタイプと比較することにより、この遺伝子欠損パターンは日本人患者に特有の創始者効果であることを発見して報告した(J Dermatol Sci, 2016 May;82:134)。 アトピー性皮膚炎における角層のコルネオデスモソームの分解異常の状態とその原因を多方面から解析し、コルネオデスモソームの主要な分解酵素であるKLK7の分泌不全ならびに、KLKの阻害分子であるLEKTIの発現亢進がおきていることを突き止めJ Invest Dermatol誌に報告した(2017 Feb;137:449)。 これまでの我々のこの分野の研究成果とデスモソーム、コルネオデスモソームに関する最新の情報と遺伝性皮膚疾患との関係を総説にまとめ、G Ital Dermatol Venereol誌に発表した(2017 Apr;152:148-157)。
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