研究課題/領域番号 |
24591621
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
滝吉 典子 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (30568895)
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研究分担者 |
中野 創 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90281922)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カテプシンC / パピヨン・ルフェーブル症候群 / セリンプロテアーゼ / 過角化 / 外的刺激 |
研究概要 |
パピヨン・ルフェーブル症候群は掌蹠角化、易感染性、歯周囲炎、を特徴とする稀な常染色体性劣性遺伝病であり、その原因は多種のセリンプロテアーゼの活性化を担うカテプシンC の欠損である。この酵素カテプシンC は、好中球やマクロファージに多く存在し、エステラーゼやグランザイムといったセリンプロテアーゼを活性化するので、本酵素が欠損するバピヨン・ルフェーブル症候群で、易感染性が生ずることは簡単に理解できる。しかし、本症に見られる掌蹠角化の発症機構を解明した内外の報告はない。そこで、申請者はパピヨン・ルフェーブル症候群にみられる過角化が、掌蹠や肘頭、膝蓋などの被刺激部であることに注目。さらに、パピヨン・ルフェーブル症候群の中でも、ごく軽微な皮膚症状を呈する症例も報告されていることから、カテプシンCの欠損に外的刺激が加わることにより、過角化の亢進が引き起こされると着想した。本年は、パピヨン・ルフェーブル症候群の遺伝子解析とリコンビナント蛋白作成:我々は、新たに数家系のパピヨン・ルフェーブル症候群を経験しており、それらの患者のDNAからカテプシンC 遺伝子を増幅して遺伝子変異を確認した。その結果、新しいミスセンス、ノンセンス、スプライスサイト変異を同定し得た。また、末梢白血球から抽出をした蛋白を用いて、酵素活性の測定も行った。その結果、患者由来のカテプシンCリコンビナントでは活性の低下がみられることを確認し得た。カテプシンC によるカリクレイセリンプロテアーゼの活性化の確認:カテプシンCが実際にカリクレイン5,8を活性化することを確認する実験も行った。カリクレイン5,8が認識する部位をもつ短いペプチドを合成。次にパピヨン・ルフェーブル症候群と健常人の表皮細胞の抽出液に加え、その合成ペプチドの切断を指標に、カリクレイン5、8 の活性の差を実施し、現在のところその活性の確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カテプシンCが原因遺伝子であるパピヨン・ルフェーブル症候群での過角化の機序は不明である。今回、その過角化が掌蹠、肘頭、膝蓋などの被刺激部であること、さらに本症の中でもごく軽微な皮膚症状を呈する症例も報告されていることに着目した。本研究の目的は、カテプシンCの欠損に外的刺激が加わることにより、過角化が引き起こされることを明らかにすることにある。今年度は、パピヨン・ルフェーブル症候群の遺伝子解析とリコンビナント蛋白作成、カテプシンC によるカリクレイセリンプロテアーゼ(KLK)の活性化の確認が計画通り進行した。
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今後の研究の推進方策 |
培養表皮細胞での角化異常の確認:培養表皮細胞に角化を誘導し、その後カテプシンC、カリクレイン5や8をくわえることにより、細胞の結合が変化するかを確認する。患者培養細胞株でも同様の実験を行い、正常との比較も行う。また、肉眼的な観察では小さな変化を見ることができない可能性もあるので、処理後にウエスタンブロットを行い、デスモグレイン1やコルネオデスモシンの分解の有無を生化学的に解析する。 カテプシンC抑制表皮細胞を用いたin vitroでの角化異常の解析:不死化ヒト表皮角化細胞株であるHaCaT細胞に、カテプシンCのshRNAをトランスフェクションし、プラスミドの薬剤耐性遺伝子を利用したセレクションによりカテプシンCを抑制したstable cell lineを作成する。培地中に、表皮を過角化させるフォルボールエステルのTPAを加え、カテプシンCを抑制細胞と抑制していない細胞間で、細胞形態に差が生じるかを顕微鏡で観察。 さらに、それらを回収してRNAや蛋白を抽出。角化マーカーであるインボルクリンやケラチン10の発現が、カテプシンC抑制細胞で増加しているかをリアルタイムRT-PCRやウェスタンブロットで確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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