過去の報告では、カテプシンCノックアウトマウスは、パピヨン・ルフェーブル症候群でみられるような掌蹠角化を発症しない。我々はカテプシンCノックアウトマウスを作製し、皮膚病変についてを検討。ノックアウ群と野生型群のマウスの前肢及び後肢を臨床的、および組織学的に検討。臨床的にもノックアウトマウスにおける掌蹠の角化は確認されず、組織学的にも野生型との相違は認めなかった。 そこで、パピヨン・ルフェーブル症候群における過角化が、掌蹠のほか、肘頭、膝蓋などの被刺激部に限局していることに着目し、過角化の発症には、何らかの物理的刺激が誘因になっていると考えた。カテプシンCノックアウトマウス、野生型マウスを用いて、各々に刺激群と被刺激群に分け( 計4群 )、各群で表皮角化の程度に差が生じるかを検討した。表皮を角化させることが知られるTPAをマウスの掌蹠、及び背部の皮膚に塗布。試薬塗布後、24時間、48時間、72時間、7日後の皮膚を採取し、各グループ間で表皮の過角化の程度に差がみられるかを組織学的に検討した。野生型マウスの被刺激群においても軽度の過角化はみられたものの、カテプシンCノックアウトマウスの被刺激群では、著明な過角化及び表皮肥厚が組織学的に確認された。 これらの結果より、パピヨン・ルフェーブル症候群における過角化などの皮膚変化は、外的刺激などが誘引となり生じ、そのため皮膚症状が被刺激部である掌蹠や肘頭、膝蓋に限局していることが示唆された。
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