研究課題
前年度に作成したHSPA1Aを恒常的に発現するJurkat細胞の亜株を用いた検討では、HSPA1A高発現亜株ではコントロール細胞と比べてHDAC阻害剤による増殖抑制やアポトーシス誘導が阻害されていた。HSPA1A高発現株では無刺激の状態でも抗アポトーシス分子のXIAP、bcl-2、p-badの発現が亢進しており、さらにHDAC阻害剤負荷後のアポトーシス誘導分子の誘導も抑制されており、HSPA1Aの高発現が(特に内因性の)カスパーゼ依存性アポトーシスを阻害することによりHDAC阻害剤阻害剤の感受性を阻害することが示唆された。続いてHSPA1Aが、HDAC阻害剤の併用療法のターゲットとなり得るか、解析を行った。HSPA1A高発現株であるHut78細胞にHSP阻害剤であるKNK437をボリノスタットもしくはバルプロ酸と併用したところ、いずれの薬剤においてもアポトーシス誘導は亢進した。さらにKNK437併用によるHDAC阻害剤の増殖抑制効果は、combination indexが1未満で、相乗効果があることがわかった。そこで、HSPA1Aに対して設計されたi-Lenti siRNA発現ベクターをHut78にトランスフェクションし,このベクターが耐性遺伝子として持つpuromycinでセレクションを行うことでHSPA1Aが恒常的にノックダウンされた亜株を樹立しHDAC阻害剤に対する感受性を調べたところ、empty vectorを組み込んだ亜株と比べて無刺激では細胞増殖に明らかな変化は認めなかったが、HDAC阻害剤による増殖抑制効果は亢進しており、アポトーシスの亢進も認めた。すなわちHSPA1AはHDAC阻害剤に対する抵抗性のマーカーとなるだけではなく、治療のターゲットとしても有望な分子であることが明らかになった。
1: 当初の計画以上に進展している
今年度はHSPA1AがHDAC阻害剤の併用療法のターゲットとなり得ることをin vitroの実験系で確認することができた。
HDAC阻害剤の効果は多岐にわたる。またHSP70も細胞内においてさまざまな働きをしている。このため、HDAC阻害剤の併用療法のターゲットとしてHSPA1Aを用いた場合、どのようなメカニズムが働いているのか網羅的に検討する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)
Breast Cancer Res Treat.
巻: 144 ページ: 59-69
10.1007/s10549-014-2859-0.
J Dermatol Sci.
巻: 70 ページ: 190-195
10.1016/j.jdermsci.2013.02.011.
Expert Rev Proteomics.
巻: 11 ページ: 9-12
10.1586/14789450.2014.871496.
Biochim Biophys Acta.
巻: 1834 ページ: 2630-2639
10.1016/j.bbapap.2013.08.009.
PLoS One.
巻: 8 ページ: e73896
10.1371/journal.pone.0073896.
J Proteomics.
巻: 91 ページ: 393-404
10.1016/j.jprot.2013.07.022.
J Proteome Res.
巻: 12 ページ: 3780-3791
10.1021/pr400439m.
Proteomics.
巻: 13 ページ: 2351-2360
10.1002/pmic.201300053.
Jpn J Clin Oncol.
巻: 43 ページ: 669-675
10.1093/jjco/hyt057.
Electrophoresis.
巻: 34 ページ: 1670-1678
10.1002/elps.201200661.
巻: 12 ページ: 1838-1846
10.1021/pr3011815.
Hum Pathol.
巻: 44 ページ: 1271-1277
10.1016/j.humpath.2012.10.013.
日本内分泌学会雑誌
巻: 89 ページ: 21-23
医学のあゆみ
巻: 245 ページ: 589-592
実験医学
巻: 31 ページ: 2985-2990
医療と検査機器・試薬
巻: 36 ページ: 297-300