研究課題
始めにHSP70阻害剤であるKNK437を単独では増殖抑制を来さない低濃度で併用することHDAC阻害剤の増殖抑制効果が増強すること、その効果がアポトーシスの亢進であることを示した。この効果はHSP72低発現株であるJurkatでも認められたが、HSP72高発現株であるTL-SUやHut78においてより強い効果を認めた。そこで遺伝子導入の手法を用いてHSP72の過剰発現したJurkat亜株を作成したところ、過剰発現株ではMOCKと比べてHDAC阻害剤による増殖抑制能、アポトーシス誘導能、カスパーゼ活性の誘導、ミトコンドリアの膜電位の偏位のいずれもが抑制されていること、定常状態においてもbcl-2やXIAPの発現が亢進していることなどが明らかになった。さらに過剰発現株ではHDAC阻害剤によるヒストンH3のヒストンテールのアセチル化が抑制されていた。以上の結果から、HSP72の過剰発現はHDAC阻害剤によるヒストンのアセチル化の阻害と、内因性カスパーゼ依存性アポトーシスの阻害により、HDAC阻害剤の感受性を抑制していることが明らかになった。最後にHSP72が、HDAC阻害剤の併用療法のターゲットとなり得るか、解析を行った。HSP72高発現株であるHut78細胞を用いてKNK437と複数のHDAC阻害剤と併用したところ、いずれの薬剤においてもアポトーシス誘導は亢進し、その効果はcombination indexが1未満で、相乗効果があることがわかった。そこで、HSP72の発現をノックダウンした亜株をHut78から樹立しHDAC阻害剤に対する感受性を調べたところ、MOCKと比べてHDAC阻害剤による増殖抑制効果とアポトーシスの誘導が亢進していた。すなわちHSP72はHDAC阻害剤に対する治療のターゲットとして有望な分子であることが明らかになった。
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