研究課題
癌細胞は熱ショック応答を強く発現させて、それを利用することで、ストレス条件下でも増殖できることが解明されてきており、様々な組織由来の癌細胞の増殖が熱ショック因子(Heat shock factor 1:HSF1)に依存することが示され、近年HSF1が癌治療の新しいターゲットとして注目を集めるようになってきている。これまでにわれわれは、ヒトメラノーマ細胞の生存、増殖にはHSF1が必要であり、HSF1をノックダウンしたヒトメラノーマ細胞では、温熱処置に対する抵抗性が減弱することを明らかにしてきた。また、最近の研究によりHSF1はメラノーマの浸潤誘発に必要な因子の1つであると報告されているが、HSF1がメラノーマの腫瘍的性質、すなわち増殖能、浸潤能および転移能にいかに関わっているか、その生物学的機能は十分には解析されていない。今回われわれは、ヒトメラノーマ細胞(HMV-I、MeWo、HMV-II)にshort hairpin RNA(shRNA)発現アデノウイルスを感染させ、HSF1をノックダウンした。HSF1をノックダウンしたヒトメラノーマ細胞では、Wound-healing assay、Migration assayおよびInvasion assayにおいて、遊走能、浸潤能の低下が認められた。また、HSF1をノックダウンした後に、HSF1を再発現させると遊走能、浸潤能は回復した。さらに、HSF1をノックダウンしたヒトメラノーマ細胞をヌードマウスに皮下注射したところ、腫瘍形成が抑制されるだけでなく、腹腔内への浸潤、肺への転移も抑制された。以上の結果より、ヒトメラノーマ細胞においてHSF1は増殖能、遊走能および浸潤能の維持に関与しており、HSF1を制御することはメラノーマ治療の有望な標的の1つになりうることが示唆された。これらの研究成果は学会で報告し、論文として発表した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Am J Dermatopathol
巻: 37 ページ: 175-176
10.1097/DAD.0b013e318288cd71
巻: 37 ページ: 257-259
10.1097/DAD.0000000000000117
Dermatol Online J
巻: in press ページ: in press
Clin Exp Dermatol
巻: 39 ページ: 410-412
10.1111/ced.12276
Indian J Dermatol Venereol Leprol
巻: 80 ページ: 373-374
10.4103/0378-6323.136981
Cancer Lett
巻: 354 ページ: 329-335
10.1016/j.canlet.2014.08.029
Eur J Dermatol
巻: 24 ページ: 620-622
10.1684/ejd.2014.2408
Br J Dermatol
巻: 171 ページ: 1588-1590
10.1111/bjd.13088