本研究の目的は、尋常性乾癬の新たなバイオマーカーを、高感度質量分析法を用いて網羅的に検索し、乾癬の診断、重症度、薬剤の効果判定に用いることである。また同様のストラテジーで湿疹の代表的疾患であるアトピー性皮膚炎においてもバイオマーカー探索を行い、診断、重症度、薬剤の効果判定に有用であることを示す。 本年度は書面にて同意の得られた患者さんから血液を3ml採取し、血清分離後凍結保存を行った。同時に尿、汗も回収し(3ml)凍結保存した 。対照として健常人のサンプルの収集を開始した。目標症例各疾患50例、正常人50例のうちアトピー性皮膚炎5例、尋常性乾癬2例、正常人12例のサンプルを回収することができた。安定同位体で標識した各疾患特異的ヒトタンパク質ライフブラリーの構築 コムギ胚芽インビトロタンパク質合成技術を用いて、同位体標識タンパク質ライブラリーの作成を行った。膜貫通型タンパク質の合成 には、リポソームを利用する無細胞タンパク質合成技術を用い、同位体標識タンパク質の作成には、安定同位体で標識したL-アミノ酸 リジン(L-Lys-13C615N2)とアルギニン(L-Arg-13C615N4)を使用した。全ての合成タンパク質はTIPsタグにより濃度を500 fmol/μl に補正した後、低吸着マイクロチューブへ分注し、内部標準用試料として-80度で保存・管理を行った。SIRPL基本ライブラリー用合成候補としてインターロイキンおよびその受容体、インターフェロンおよびその受容体、ケモカインおよびその受容体、その他のサイトカインおよびその受容体、造血因子およびその受容体、細胞傷害因子およびその受容体、細胞増殖因子およびその受容体、ADAMメタロプロテアーゼ、MT-MMPおよびMPメタロプロテアーゼとその阻害因子TIMP、オーファン受容体も含む各種GPCR、細胞外マトリックス、がん遺伝子、がん抑制遺伝子など約800種類を目標とし合成を開始している。
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