研究概要 |
目的: 我々は音ストレスにより接触皮膚炎contact hypersensivity(CH)が増悪するモデル(Am J Pathol 176: 187-197, 2010)を作成した。またこれまでにアルザス反応の動物モデルにおいてCOを合成するHeme Oxygenase(HO)-1誘導物質、またH2S徐放剤であるNaHS投与によりその炎症反応が軽減すること、またHO-1阻害物質により増悪する事を報告した(Shimizu K et al. Clin Exp Immunol. 153:245-57, 2008) (Shimizu K et al. J Leukoc Biol 93: 573-584, 2013)。ガス状分子がアレルギー反応に関与している可能性が示唆された。そこでこの接触皮膚炎contact hypersensivity(CH)のモデルを用いて音ストレスによるアレルギー反応が増悪する現象へのガス状活性分子すなわちNitric oxide(NO), Carbon monoxide(CO), Hydrogen sulfide(H2S)等の関与を検討した。 方法と結果: CHマウスモデル、H2S投与通常CHマウスモデル、音ストレス増悪CHモデル、H2S投与音ストレス増悪CHモデルの4群の作成を行った。耳介の厚さ測定解析、耳介皮膚の組織学的検討、耳介皮膚における炎症性サイトカインなど各種マーカーの転写レベルにおける検討を行う予定であったが、他の動物と隔離して音ストレスをかけるための小部屋の確保が難しく、少数のマウス単位での検討を選択せざるを得なかった。とくに音ストレスをかけた上でのHydrogen sulfide投与群との比較が当初の予定数を確保できず、実験結果の再現性をみるまでに至らなかった。さらに時間を確保することが困難となったため3年目の研究続行を断念した。
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