研究課題/領域番号 |
24591637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
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研究分担者 |
照井 正 日本大学, 医学部, 教授 (30172109)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゲノムメチル化 / エピジェネティック変異 / 皮膚有棘細胞癌 |
研究概要 |
悪性の皮膚腫瘍である有棘細胞癌(SCC) の発生にはゲノムの配列変異、増幅などの genetic な変異のみならず、epigenetic な変異が関与する事は広く知られているが、具体的に変異を起こしている遺伝子についての知見は少ない。我々はこれまでに、SCC の発生・進展に関与するepigenetic 変異の大規模探索を目的として、マウス皮膚化学発癌モデルを用いて網羅的な解析を行い、ゲノムメチル化および発現の変異が起こっている遺伝子73個をスクリーニングしている。 本研究ではその成果を踏まえ、それら73個の遺伝子のヒト相同領域について、ヒトSCC および良性の増殖性皮膚疾患の検体における変異の有無を解析する事により、ヒトSCC の発生・進展のメカニズム解明および新規マーカーの開発を目指している。 マウス皮膚SCC検体の網羅的解析により得られた73個のSCC 関連epigenetic変異領域のうち、10領域周辺の遺伝子について、ヒトSCC27検体および正常皮膚9検体における発現変異を調べた。Real time PCR による解析の結果、Dgcr2 およびWNK1の発現が癌部において正常皮膚と比較して有意に発現上昇していることが確認できた。WNK1 については免疫染色によっても、一部腫瘍での発現の上昇が確認できた。そこで、これらの変異領域のゲノムのメチル化レベルを質量分析装置Sequenomにより定量的調べたがWNK1 では特にメチル化の変異は確認できなかった。また、Dgcr2については解析自体がうまくいかず、プライマーの再設計などが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、数個の遺伝子について発現解析を行い、発現変化のあったものについてはゲノムメチル化解析まで進んでいるため、概ね予定通りである。しかしながら癌部と正常部でのメチル化が異なっている遺伝子が見つからなかったため、今後さらに残りの候補領域についても発現解析、ゲノムメチル化解析を進めていく予定である。 良性疾患の収集は予定通り続行中である。
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今後の研究の推進方策 |
73個の候補領域のうち、まだ調べていない63領域について解析を進める。転写因子やキナーゼ類を優先的に選んでreal time PCR による解析を行い、癌部・非癌部での発現に差のみられたものについてはゲノムメチル化解析を行う。この場合、候補ゲノム領域にCpGアイランドのあるものを優先的に解析していく予定である。 SCC および正常部の検体収集はひき続き行い、また良性疾患検体の収集も続行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の解析では、発現解析にて癌部・非癌部に差のあった遺伝子が少なく、その結果ゲノムメチル化解析やその先の解析まで進んだ遺伝子が少なかったため、当初の予定よりも消耗品の購入が少なかったが、次年度は解析対象遺伝子が増えるため、ゲノムメチル化解析用のSequenom 関連試薬、器具の購入やその後の培養系での機能解析に研究費が用いられる予定である。
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