研究課題/領域番号 |
24591640
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
辛島 正志 久留米大学, 医学部, 講師 (70211175)
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研究分担者 |
橋本 隆 久留米大学, 医学部, 教授 (20129597)
古村 南夫 久留米大学, 医学部, 准教授 (10315070)
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キーワード | 乳房外ページェット病 / 男性ホルモン / アンドロゲン受容体 |
研究概要 |
乳房外ページェット病は、その由来や、その他細胞生物学的な解析が現在まで多くの点が不明である。その理由として、がん研究に必須である、細胞株がこれまで存在しなかったことが大きな原因として挙げられる。研究代表者らは近年、乳房外ページェット病患者病変部由来の細胞株を樹立することに世界に先駆けて成功した。この細胞株は、培養開始から既に数年の期間を経ているが、安定して増殖している。現在のところ、乳房外ページェット病は皮膚付属器のアポクリン腺に由来する腺がんのひとつとされており、臨床の現場では、乳がんもしくは腺がんに準じた抗がん剤を用いる化学療法がなされている。しかし、乳がんその他腺がんに有効な抗がん剤は乳房外ページェット病に対しては有効率が低いことが問題となっている。すなわち、乳房外ページェット病は、腺がんのなかでも、特異な性質をもつがんと考えられる。今回、われわれが樹立した乳房外ページェット病細胞株を用いてその細胞生物学的な検討、特に増殖因子について検討をおこなった。 本細胞株はEGF添加により増殖が促進されること、EGFリセプターを発現していることが確認された。前立腺がんにおいては男性ホルモンが腫瘍増殖作用を示し、男性ホルモン阻害剤が抗腫瘍作用を示すことが明らかとなり、臨床応用されている。乳房外ページェット病もその一部の症例は男性ホルモンリセプターを発現している。そのためin vitroの系で乳房外ページェット病腫瘍細胞における男性ホルモンの増殖活性の有無について検討した。 乳房外ページェット病腫瘍細胞の男性ホルモン依存性についての検討はin vitroの系で本細胞株を抗アンドロゲン薬存在下に培養し、各濃度での細胞数および細胞周期の測定によりおこなった。またウエスタンブロットで細胞周期関連タンパク質の発現動態を経時的に定量し、詳細な検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroの系での乳房外ページェット病腫瘍細胞の男性ホルモン依存性についての検討は、抗アンドロゲン薬を用いた系での細胞数、細胞周期の測定およびウエスタンブロットで細胞周期関連タンパク質の発現動態の経時的定量を終えた。 現在、アンドロゲンによる細胞増殖刺激についての検討をおこなっており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、in vitroの系での乳房外ページェット病腫瘍細胞の男性ホルモン依存性についての検討をより詳細におこなう。すなわち、作用点の異なる抗アンドロゲン薬を用いた系での細胞数、細胞周期の測定およびウエスタンブロットで細胞周期関連タンパク質の発現動態の経時的定量を行い、作用点の異なる抗アンドロゲン薬を比較検討する予定である。
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