研究課題/領域番号 |
24591641
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
川口 雅一 山形大学, 医学部, 講師 (10302291)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メラノサイト / DGK / メラニン合成 / 紫外線 / メラノソーム |
研究概要 |
メラノサイトやメラノーマにおけるDGK isoformの発現を解析し、いくつかのisoformが発現していることをreal-time PCRやウエスタンブロットで確認した。またDGK阻害剤がメラニン量、チロシナーゼ活性、チロシナーゼ蛋白の発現を抑制することを明らかにした。DGK阻害剤は低濃度ではチロシナーゼ以外のメラニン合成関連タンパク(TRP-1、DCT、pmel17、 MITF)の発現には影響を与えず、チロシナーゼとMITFのmRNA発現にも影響を与えなかった。高濃度の阻害剤はMITFの発現を抑制した。電顕ではメラノソームの量がこの阻害剤で減少していた。DGK isoform特異的にノックダウンする系として、培養ヒトメラノサイトにおけるRNA干渉の実験系を確立した。また各DGK isoformのcDNAを用意してウイルスベクターに組み込んだ。今後、この系を用いてDGK isoformの機能解析を行う予定である。 メラニン合成に関与する分子をスクリーニングする過程で、あるプロテアーゼ阻害剤がメラニン合成を抑制することを見出した。この阻害剤はヒトメラノサイトやメラノーマ細胞株において、細胞増殖は抑制せずにメラニン合成を抑制した。MITFやチロシナーゼなどのメラニン合成関連蛋白の発現にはあまり影響を与えていなかったが、ウエスタンブロットで、この中のある蛋白のバンドに変化が見られた。電子顕微鏡で観察するとメラノソームの数が減少していた。このプロテアーゼはいくつかのファミリーがあるのでsiRNAをもちいて、どの分子がメラニン合成に関与するか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある種のプロテアーゼ阻害剤はメラニン合成を抑制することを明らかにした。この阻害剤はメラノーマ細胞株であるB16F10においてMSH刺激によるメラニン合成も抑制した。また今後、様々な疾患領域で使用される可能性がある阻害剤であり、その分子機能解析を行うことが臨床状も有用であると考える。 これまで、正常ヒトメラノサイトはRNA干渉によるノックダウン実験が難しかったが、これを可能にするシンプルな系を確立できた。これにより多数の分子をノックダウンすることが可能になり今後の研究が進行するものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究をさらに進めるとともに、紫外線UVBにより発現が亢進するDGK isoformの機能解析を行う。メラノサイトはUVB照射により様々なシグナル伝達系を介し、アポトーシスが誘導されたり細胞周期の調節を受ける。我々はこれまでにUVBやp53により発現が調節されるDGK isoformを同定した。このDGK isoformの機能を解析するために、アデノウイルスやRNA干渉を用いて発現量を調節し、DNA damage、アポトーシス、細胞周期、サイトカインあるいはケモカイン産生への影響などを検討する。また培養細胞にUVBを照射後、経時的にRNAを回収し、マイクロアレイを行いDGKの標的分子を同定する。同定された分子についてはreal-time RT-PCRやWestern blotで確認する。さらに、DGKcDNAをケラチン14プロモーターあるいはDctプロモーターの下流につなげたコンストラクトを用いて、ケラチノサイトおよびメラノサイト特異的トランスジェニックマウスを作成し、UVB照射に対する影響 (DNA damage、アポトーシス、サイトカインやケモカインの発現、細胞周期への影響)を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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