研究課題/領域番号 |
24591643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
牧野 輝彦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (90359711)
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研究分担者 |
清水 忠道 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (70260396)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | profilaggrin / 表皮角化細胞 / 終末分化 / 角化 / 皮膚癌 |
研究概要 |
Profilaggrinは角化において中心的な役割を担う分子である。N末端にCa2+-binding domainであるEF hand domainを有しそれに多くの反復配列が続く、いわゆるfused-typeのS100タンパク質であり、角化の過程で切断された反復配列の1単位であるfilaggrinがケラチンを重合する。またその切断の際、EF hand domainを含むN末領域が核内に移行することが報告されている。我々はこれまでprofilaggrinのN末領域に注目し、profilaggrinのN末領域(1-292aa)は細胞死を誘導することが確認され、そのA domain(1-82aa)内に機能部位が存在することを見出した。 本研究ではProfilaggrin のN末領域が核内に移行した後、どのような機序で細胞死に至るのかを解明とそれに基づいた皮膚癌に対する新規治療法の開発を目的とする。 具体的にはまず核内でprofilaggrinのN末端領域と結合しうる蛋白質を同定し、細胞死にいたるシグナル伝達経路を検索する。さらにCaspaseなど表皮角化細胞の細胞死と関連が示唆されている分子との相互作用についても検討する。 さらに、細胞死に関与していることが示唆されているのA domainを約20アミノ酸に区切り合成ペプチドを作製し、正常表皮角化細胞に導入しその作用を検討する。細胞死を誘導するペプチドが同定されれば、それをHacaT細胞株や各種培養癌細胞株に導入し、癌細胞に対する増殖抑制効果や細胞死の誘導効果について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
profilaggrinと結合する蛋白質の同定に関しては、growth phaseの表皮角化細胞(NHK)とdifferentiated phaseのNHKより得た核蛋白質と細胞質蛋白質をGST融合proFLG-Nリコンビナント蛋白質と共沈降させ、これらの蛋白質をもちいて資生堂リサーチセンター日比野先生の協力のもとLC/MS/MS解析を行った。その結果、profilaggrinのN末領域と結合する可能性をもつ候補蛋白質が得らた。さらにsiRNAによりそれらの発現を抑制しproFLG-Nによる細胞死の影響を検討しさらに候補の蛋白質が絞られてきている。一方、A domainをカバーするペプチドを複数作製し、このうち細胞死を誘導するペプチドを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
現在profilaggrinのN末領域による細胞死に関与する可能性をもつ蛋白質が複数得られており、この中から細胞死に関与する蛋白質を同定し、その蛋白質の表皮角化細胞の増殖・分化における役割やprofilaggrinとの関連について解明していく。また、profilaggrinペプチドに関する研究ではHaCaT細胞や各種培養癌細胞において細胞死を誘導しうるか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在得られている複数の候補蛋白質の機能やprofilaggrinとの関連を検索するため、これらの蛋白質に関連する各種抗体やsiRNAの購入を予定している。また、癌細胞に対するprofilaggrinペプチドの効果を検証するため、ペプチドの合成、培養細胞やアポトーシス検出用のキットの購入も予定している。
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