研究課題/領域番号 |
24591649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野村 尚史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60346054)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 皮膚免疫 / 免疫制御 / アレルギー |
研究概要 |
免疫寛容を維持する制御性T細胞(Treg)は皮膚免疫難病の治療標的としても有望視されている。Tregには胸腺型と誘導型の二つのサブセットが存在するが、炎症性皮膚疾患におけるこれらサブセットの意義は分かっていない。本研究は、独自のHeliosレポーターマウスを用いて皮膚免疫におけるTregサブセットの意義を明らかにし、新たな免疫制御薬の創出に発展させることを目的とする。 平成24年度は、Helios発現を可視化しTregサブセットを生かした状態で解析できるマウスを作出した。また接触過敏性皮膚炎モデルにおいて出現するTregサブセットを解析した。概要は以下の通りである。 (1)Foxp3/Heliosレポーターマウスの作出に成功した:Helios遺伝子を黄色蛍光タンパクVenus遺伝子で置換したHeliosレポーターマウスをFoxp3レポーターマウスと交配した。Foxp3はTregに特異的な転写因子である。Foxp3のレポーターマウスは、ヒトCD2遺伝子またはGFP(緑色蛍光タンパク)を発現する。その結果Foxp3を発現するTregを、Venus発現レベルにより分類することが可能になった。 (2)接触過敏性皮膚炎におけるTregサブセットを解析した:CHS(contact hypersensitivity)は一般的な接触皮膚炎モデルであり、様々な化学物質やペプチドを用いて皮膚の免疫反応を解析できる。本年度は、野生型マウスの耳介皮膚にDNFBハプテンでCHSを惹起し、出現するTregのHelios発現をモノクローナル抗体を用いて解析した。その結果、抗原刺激により増加するTregサブセットの大部分はHelios陽性型であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、Heliosレポーターマウスの作出を行なった。さらにTregを生かした状態で検出できるFoxp3レポーターマウスと交配した。以下の達成度から、おおむね予定通りの進捗を得たと考える。 (1)Helios レポーターマウスの作出に成功した:最初のATGコドンが出現する第2エキソンに、読み枠をそろえてVenus遺伝子(黄色蛍光タンパク)を相同組換えで挿入した ES 細胞クローン(129/B6のF1)を、マウス胚に注入しキメラマウスを得た。このキメラマウスを野生型マウス(B6)に戻し交配した。その結果、ヘテロ接合体の生育は正常で、T細胞の一部にVenusの発現を確認した。 (2)Foxp3/Heliosレポーターマウスの作出に成功した:Foxp3のレポーターマウスは、ヒトCD2遺伝子またはGFP(緑色蛍光タンパク)を発現するマウスである。その結果、Foxp3を発現するTregを、Venus発現レベルにより分類することが可能になった。養子移入実験を可能にするため、遺伝背景をB6に戻し交配を継続中である。 (3)接触過敏性皮膚炎におけるTregサブセットを解析した:CHS(contact hypersensitivity)は一般的な接触皮膚炎モデルであり、様々な化学物質やペプチドを用いて皮膚 の免疫反応を解析が可能である。本年度は、野生型マウスの耳介皮膚にDNFBハプテンでCHSを惹起し、出現するTregのHelios発現をモノクローナル抗体を用いて解析した。その結果、抗原刺激により増加するTregサブセットはHelios陽性型であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度も接触過敏性皮膚炎(CHS)を用いた解析を継続する。さらにHelios発現とFoxp3発現の関係について考察する。 (1)レポーターマウスを用いてCHSで誘導されるTregの機能を解析する。得られる知見は、Tregサブセットを標的とした免疫療法の開発や、免疫寛容を誘導する薬剤の創出につながる。 (2)Helios発現とFoxp3発現安定性の関係を解析する。抗Helios抗体で調べる限り、胸腺内のTregはFoxp3とHeliosを共発現する「胸腺型」である。胸腺型TregのFoxp3発現は、安定していると言われている。レポーターマウスを用いて、Helios発現とFoxp3発現の安定性が関連するか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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