研究課題
hiPS細胞における遺伝子のターゲッティングは、マウスESあるいはiPS細胞におけるそれに比してかなり困難とされているが、近年の技術の進歩により、人工ヌクレアーゼを使用することによる遺伝子ターゲティング法により、比較的自在に行うことができるようになった。本研究においても、当初、通常のhomologous recombinationに期待するターゲティングを想定していたが、TALENsあるいはCas9/CRISPRを使う方向へと変更した。本来の目的である、アトピー性皮膚炎において実際にみられる遺伝子変異挿入を行う前に、フィラグリン遺伝子のノックアウトを目的として、実験を進行した。まず、TALENsを作成し(FLG-TALENs)、フィラグリン遺伝子のKOを試みたが、遺伝子切断の効率の問題か、うまくいかなかった。したがって、効率という面ではおおきなアドバンテージをもつCas9/CRISPRを使うことにした。web baseで標的とする配列(guide RNA)デザインしてベクターを作製した。作製したベクターをhiPS細胞にリポフェクションにより導入し、短期間の抗生剤セレクションを施行したのちに残存したコロニーをランダムに20個ピックアップした。20個のうち、5個ほどで片アレルにランダムな変異がみつかり、フィラグリン遺伝子に変異が挿入されたhiPS細胞を得た。Cas9/CRISPRのシステムを使うことによって、フィラグリン遺伝子変異をもつhiPS細胞を作製することができた。このiPS細胞を用いて、フィラグリン遺伝子変異のもつ意味を詳細に検討可能となる。
すべて 2014
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Stem Cells Transl Med.
巻: 3 ページ: 992-1001
10.5966/sctm.2013-0179.