研究課題/領域番号 |
24591652
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
福永 淳 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10467649)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 皮膚炎症 / チオレドキシン / アトピー性皮膚炎 / 接触皮膚炎 |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎を代表疾患とする湿疹・皮膚炎は皮膚科を受診する患者の約40%を占める最も頻度の高い疾患である。またアトピー性皮膚炎は40歳以下における有症率が約10%と生産年齢における罹患率が非常に高い国民的疾患といえる。しかしアトピー性皮膚炎治療の薬物療法の中心であるステロイド・免疫抑制剤外用療法には無視できない特有の副作用があり、多く患者の症状のコントロールが不十分でQOLが損なわれている。我々は以前にチオレドキシン(TRX)を過剰発現させたTRXトランスジェニックマウスで接触過敏(CHS)反応やクロトンオイル皮膚炎反応が抑制される事、ヒトリコンビナントTRX(hrTRX)腹腔内投与によりこれらの皮膚炎反応が抑制される事を報告している。以前は腹腔内投与という臨床的に応用しにくい投与方法で皮膚炎の抑制を観察したが、今回の一連の研究ではhrTRXを外用することでマウスにおける一次刺激性皮膚炎反応を抑制できることを確認した。その奏功機序については現在詳細に検討中であるが、hrTRXが皮膚ケラチノサイトにおける前炎症性サイトカインの産生を抑制することで皮膚炎の誘導が抑制されている可能性が高いと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在はマウスモデルを用いたTRX外用効果の検討を行っており、当初の計画通り一次刺激性皮膚炎モデルでの検討は終了している。さらに培養ケラチノサイトを用いたクロトンオイルによるサイトカイン産生上昇に与えるTRXの影響に関してもおおむね順調に検討が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアトピー性皮膚炎患者におけるTRX外用効果の検討を行う。この研究計画に関してはすでに学内の倫理委員会の申請を通過しており、実際に患者の同意をもとに研究を行っていく準備を行っている。 さらに網膜や肝細胞においてTRX誘導物質であることが証明されているgeranylgeranylacetonを用いて、マウス、人ケラチノサイトにおいてもTRX が誘導されることを証明し、マウス一次刺激性皮膚炎モデルにおいてTRX外用と同様の抗炎症効果が得られるかを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はアトピー性皮膚炎患者におけるTRX外用効果の検討とTRX誘導物質であることが証明されているgeranylgeranylacetonを用いたマウスモデルでの検討の準備を行う予定である。TRXを含む外用剤の開発のための基剤などの試薬の購入やマウスの購入が必要である。さらに学会発表や学会参加での研究に関する討論などに関わる旅費が必要となる。
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