研究課題/領域番号 |
24591654
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
窪田 泰夫 香川大学, 医学部, 教授 (10126047)
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研究分担者 |
五十嵐 淳介 香川大学, 医学部, 准教授 (20346638)
小坂 博昭 香川大学, 医学部, 教授 (60158897)
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キーワード | カベオリン / 皮膚 |
研究概要 |
本年度は血管内皮細胞を対象にして、皮膚の主要構成細胞であるヒト真皮線維芽細胞のカベオリン発現に及ぼすステロイドの影響についての検討を行った。デキサメサゾン添加後のヒト真皮線維芽細胞のカベオリン-1の遺伝子レベルの発現はRT-PCR,qRT-PCRにより検討したが、用量、時間依存性の発現変化は認められなかった。なお、対象とした血管内皮細胞では有意な用量、時間依存性のカベオリン-1の発現の誘導が得られている。次に蛋白レベルでのヒト真皮線維芽細胞のカベオリン-1発現を検討したが、イムノブロッティングでの検討ではTBST-OGバッファーなどの各種の蛋白単離分解バッファーを試みるもゲル上端にオリゴマーを生じたため発現レベルの増減を結論づけるにはこの手法では困難と考えた。ただし、分子量20kDa付近での蛋白質発現はデキサメサゾン添加後には時間依存的に増加していた。オリゴマーの免疫染色による発現解析は肉眼所見とキーエンス社の顕微鏡を用いたカバースリップ全体の蛍光発色陽性のヒト真皮線維芽細胞の数を画像解析と計数処理すると統計上有意な発現増加が認められた。対象とした血管内皮細胞を用いたイムノブロッティングでは蛋白レベルでも有意な用量、時間依存性のカベオリン-1の発現の誘導が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚の構成細胞に発現するカベオリン-1の発現とステロイドの影響をを昨年度と、本年度をかけて表皮細胞、線維芽細胞それぞれについて血管内皮細胞と比較する形で進めてきた。対象とした血管内皮細胞と比べて皮膚の2つの細胞は表皮細胞、線維芽細胞ともにカベオリン-1の単離が困難なため時にトラブル解決の時間がかかるが皮膚構成細胞のカベオリン-1発現に関する一定の結論は出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は線維芽細胞を用いた実験系の再修正とともに、カベオリン-1の発現の高い血管内皮細胞に立ち返り、とくにヒト皮膚の毛細血管内皮細胞とヒト大動脈血管内皮細胞などを用いてステロイドの作用を詳細に比較検討することを考えている。またステロイドの種類も糖質ステロイドの他、鉱質ステロイド、性ステロイド剤などとの効果の比較を予定している。また、ヒト血管内皮細胞を用いてVEGFとカベオリン-1との相互作用を解析するためVEGF/VEGF受容体系の下流の各種の細胞内シグナル伝達分子のリン酸化に及ぼすステロイドの影響も検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品調達の効率化等により少額の残金が発生した。 残額については消耗品の購入等に充当する予定である。
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