研究課題
本研究は、自己由来の内因性リガンドと病原体センサーの相互作用による非感染性慢性炎症である「自然炎症」がアトピー性皮膚炎の発症と慢性化に果たす役割と分子機構を究明することが目的である。TLR3-KOマウスにハプテン塗布による遅延型過敏反応や刺激性皮膚炎反応などのアトピー性皮膚炎のモデル反応を惹起して、皮膚での炎症反応を養子移入実験なども含めて詳細に検討するとともに病理組織学的に検討を行ったところ、TLR3-KOマウスでは野生型に比べて反応の減弱がみられた。また、肥満細胞、樹状細胞、リンパ球、マクロファージなどの機能解析、掻き行動、表皮角化細胞や線維芽細胞が産生するサイトカインについて詳細な解析を行った。その結果、これらの反応増強の機序として、表皮角化細胞や線維芽細胞の関与が考えられた。特に表皮角化細胞が産生するIP-10やRANTESなどのケモカインが、TLR3を介する接触過敏反応の増幅に重要であることが明らかになった。これらの結果から、アレルギー性皮膚炎、刺激性皮膚炎の反応に表皮角化細胞や線維芽細胞に発現するTLR3を介した炎症増強反応が深く関与していることが示唆された。また、既報に基づいてTLR3を介する刺激がかき行動を誘導する可能性について、poly (I:C)を用いて検討したが、かき行動は誘発されず、既報での現象は再現されなかった。現在、TLR3アンタゴニストによって皮膚アレルギー反応が減弱する可能性について詳細に検討をしている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J Invest Dermatol
巻: 135 ページ: 411-417
10.1038/jid.2014.402.
J Dermatol
巻: 42 ページ: 367-372
10.1111/1346-8138.12804.
J Dermatol Sci
巻: 78 ページ: 44-50
10.1016/j.jdermsci.2015.01.015.
巻: E-pub ページ: 印刷中
10.1111/1346-8138.12866.
JAMA Dermatol.
巻: 151 ページ: 311-315
10.1001/jamadermatol.2014.3002.
Acta Derm Venereol
巻: 95 ページ: 345-346
10.2340/00015555-1972.
Br J Dermatol.
巻: 172 ページ: 272-275
10.1111/bjd.13377.
J Am Acad Dermatol.
巻: 70 ページ: 882-888
10.1016/j.jaad.2014.01.867.
PLoS One
巻: 25 ページ: e113217
10.1371/journal.pone.0113217.
J Cutan Pathol.
巻: 41 ページ: 561-567
10.1111/cup.12322.
巻: 74 ページ: 171-173
10.1111/1346-8138.12409.
巻: 73 ページ: 135-141
10.1016/j.jdermsci.2013.10.006.