研究課題/領域番号 |
24591661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
王寺 幸輝 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50343421)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 再生医学 / 発毛再生 / 皮膚再生 / Wnt / 幹細胞 / 毛包 / 細胞培養 / 細胞移植 |
研究概要 |
本研究計画では、遺伝子組換え技術により細胞動態を可視化できる細胞株を樹立し、培養によるin vitro発毛システムを用いて発毛を可視化・解析し、発毛現象を解明することを目的とする。 初年度(平成24年度)は、発毛の細胞材料(皮膚上皮幹細胞EpSCsと毛乳頭細胞DPCs)の準備、培養を行った。さらに、発毛現象を可視化・解析するにために、遺伝子組換え技術を用いて、EpSCsとDPCsに遺伝子導入した細胞株を作成した(EpSCs:赤色蛍光タンパク質発現細胞、DPCs:緑色蛍光タンパク質発現細胞)。これらの細胞は、細胞動態をリアルタイムで観察可能であった。 In vitro発毛システムは、培養液に無血清培地を用いてEpSCsとDPCsを混合培養することで行い、培養は接着培養系あるいは浮遊培養系を検討した。さらに細胞数、比率を変える、種々の精製Wntを添加培養する等(濃度および組み合わせ)の条件検討を行うことで、至適条件をスクリーニングした。その結果、ある種のWntがEpSCsやDPCsの維持や分化に効果的であることが明らかとなった。 一定期間培養後、培養中に出現した毛包様組織体を解析するため、固定、凍結連続切片を作成後、毛包組織特異的な抗体による免疫染色により評価した結果、毛包形成が認められたことから、in vitro発毛システムの有効性が示された。 次年度(平成25年度)では、in vitro発毛システムによる発毛現象の可視化・動態解析を更に進めることで、発毛現象を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、期待した実験成果が得られており、学会発表および論文発表での成果報告を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成25年度)では、in vitro発毛システムによる発毛現象の可視化・動態解析を更に進めることで、発毛現象を解明する。 具体的には、平成24年度に得られた結果を基に、更に詳細な解析を行う。発毛現象におけるEpSCsあるいはDPCs内での遺伝子発現変化を、各種蛍光発現を駆使して、フローサイトメーター(FACS)あるいはレーザーマイクロダイセクション(LMD)により細胞分取し、Wntシグナル関連リアルタイムPCRおよびDNA arrayにより解析することで、発毛現象を論理的に解明する。 さらに、よりin vivoに近い環境で、発毛現象に関する情報を得るため、in situシステムを用いた解析を行う。Wntビーズを移植することで、発毛現象を可視化し、さらに毛包内各種細胞に対するWntの影響を解析する。得られた結果より、各種Wntが毛包内の微小環境を維持しつつ、発毛現象に対しどのように働くかを可視化することで、in situでの発毛現象に対する重要な情報を得ることができると考えられ、より生理条件に近い環境での発毛現象を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究計画の2年目(平成25年度)において、発毛に関わる遺伝子変化を詳細に解析する目的で、DNA array等、受託研究費の発生が予想された。その受託研究費は高額になると考えられたため、初年度(平成24年度)の研究費用をできるだけ抑えるように腐心した。 平成24年度、細胞材料の準備として培養液やプラスチックシャーレ等の消耗品を購入するために研究費を使用した。その際、計画的かつ必要最小限の量を購入することで、繰越金を捻出した。平成25年度は、これらの繰越金を使用してDNA array等を用いた細胞の更なるキャラクタリゼーションを行う。また、初年度に購入した消耗品を継続して使用することや、実験に必要な物品を計画的に購入することで、研究を遂行する。
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