発毛現象の解明には、細胞動態をリアルタイムで観察可能な系が求められる。その実現に向けて、発毛の鍵となる2つの細胞(皮膚上皮幹細胞EpSCsと毛乳頭細胞DPCs)の長期的培養法の確立と、それらを用いた新生毛の誘導(in vitro発毛システム)を検討した。 EpSCsを種々のWntにより培養したところ、Wnt-3aのみが長期的な培養を可能にし、その多分化能(毛包細胞への分化能)も維持された。またDPCsは、Wnt-10bが特異的に長期培養を可能にすることが明らかとなった。EpSCs/DPCsの混合培養により毛包様構造が生じ、それらの誘導にWntシグナルが関与していることが示唆された。
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