研究概要 |
我々は、皮膚GVHDモデルマウス(K14-mOVATgマウス)を用いて、interferon regulatory factor 8 (IRF8) がCD8 T細胞のエフェクター機能に関与していることを報告した(Miyagawa et al., PNAS 2012)。K14-mOVATgマウスに、OVA抗原を認識するCD8+OT-I細胞を移入すると、GVHDに類似した皮膚炎を誘発することができる(Shibaki et al., J Invest Dermatol 2004, Miyagawa et al., J Immunol 2008)が、IRF8を欠損したOT-I細胞(OT-I/IRF8KO細胞)を移入した場合、GVHD反応および移入した細胞のエフェクター機能は減弱した(Miyagawa et al., PNAS 2012)。しかしこれらは完全に消失するわけではないことより他の転写因子の関与も考えられた。IRF8は、他のIRF family転写因子とダイマーをつくりその機能を発揮することが分かっている。今年度の研究では、皮膚GVHDモデルマウスにおいて、IRF8とともにあるいは独立してCD8 T細胞のエフェクター機能に関与しているIRF転写因子があるかどうかをしらべることにした。免疫細胞に発現の見られるIRF転写因子は、IRF1、2、4、5、7、8であるので、まずin vitroの実験系を用いて、CD8 T細胞の活性化に伴いこれらのIRF転写因子の発現がどう動くかを検討した。OT-I細胞あるいはpolyclonal CD8 T細胞を抗CD3抗体+抗CD28抗体で刺激し、6時間後と24時間後に細胞を回収し、RNAを抽出後、real-time PCRを行った。これらのIRF転写因子のうちIRF4のみがIRF8と同様にCD8 T細胞の活性化とともにその発現が見られ、6時間後に上昇し、24時間後にはその発現は低下した。IRF4はIRF8とともにCD8 T細胞のエフェクター機能に関与している可能性が考えられた。
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