研究課題
本研究課題は、①これまでに皮膚形成に関与していると報告されている遺伝子②上皮顆粒層に高発現遺伝子の中から200遺伝子を対象とした次世代DNAシーケンサーを用いて安価・迅速に解読する方法を開発し、慶應義塾大学医学部皮膚科学教室で収集した日本人アトピー性皮膚炎(AD)患者のDNA解析により、新規AD原因遺伝子の同定を目指している。平成24年度は、Haloplexターゲットエンリッチシステムを用いて345遺伝子を次世代DNAシーケンサーで解読し、コンピューター解析法の確立を行った。この方法を用いてアトピー性皮膚炎(AD)患者6人の解析を行い、20カ所のミスセンス変異を同定した。平成25年度は、Haloplexターゲットエンリッチシステムを用いた約600遺伝子解読法を確立し、新しい方法に対応し、既知病原変異などの情報を付加可能なプログラムを導入した。その結果、新たに6人のAD患者から解読方法をおこなった。最終年度である平成26年度は、この方法を用いてさらに12人の解読を行った。これまで得られた結果をすべて統合して解析した結果、6つの遺伝子変異候補を同定した。それらは、自然免疫もしくは上皮細胞増殖シグナル関連因子であった。その中の自然免疫関連膜貫通型レセプター遺伝子変異に対して、1000人ゲノムや日本人多型データベース解析の結果、アジア人に特異的に見られ集団の1~2%存在しレセプター認識部位構造に影響を与える低頻度多型であった。この遺伝子変異をAD患者約150人に対して解析した結果、全体では日本人集団での出現頻度には有意差は見られなかったが、皮疹のパターンによってさらに分類した顔面及び首周囲に特徴的なパターンの皮疹を形成する集団で高頻度に同定された。現在、我々が同定した特徴的なパターンを示す他の日本人AD集団の収集を進め、他の集団での再現性確認を行っている。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
J Dermatol Sci.
巻: 76 ページ: 10-15
分子消化器病
巻: 11 ページ: 88-93