研究実績の概要 |
最終年度は、全ゲノムクロマチン免疫沈降(ChIP)法と、次世代シーケンサーを組み合わせたChIP-SeqによるTCF4転写因子の結合制御遺伝子のゲノムワイド検索を行った。スプライシング等によりTCF4のN末端に近い領域でエクソン置換やスプライシングされた複数のアイソフォームのうち、メラニン関連遺伝子を抑制するITF2bアイソフォームのN末端に近い領域のペプチド抗体4種を用いた。 4抗体それぞれのChIP DNAをstandard Illumina ChIP-Seq librariesで検出し、200万以上のシーケンスをMACSにてpeak分析した。4つの抗体のうち抗TCF4抗体 Abcam (ab185736, Lot.GR204909-1)にて、バックグラウンドより有意に高いピークが296個認められた。しかし、ピークが全て低く個別のディープシーケンシングに進めなかった。 期間全体の成果として、培養ヒトメラノサイトにおいて、cAMPシグナルが定常状態以下に抑制されるとユビキタスな転写因子TFEB、TFE3、TCF4の発現が亢進することを示した。更に、これらの転写因子に加えて、細胞周期や増殖にかかわるサイクリン,CDKなどの遺伝子発現を制御する可能性のあるマイクロRNAを同定するために、miRNAマイクロアレイ解析により、培養メラノサイトで高発現しているmiRNAを特定後、個々の機能について検索した。miR-30b, -146a, -29aなどが複数のシグナルとクロストークしながら、遺伝子の発現制御に関わっている可能性が示唆された。 ChIP-Seqにより転写因子TCF4の結合サイトのゲノムワイド同定を試みたが、次世代ディープシーケンシングによる個別の遺伝子の同定には至らなかった。
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