研究課題/領域番号 |
24591674
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
泉 剛 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60312360)
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研究分担者 |
吉田 隆行 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60374229)
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キーワード | 精神薬理学 |
研究概要 |
(1)平成24年度には、ラットの文脈的恐怖条件付けの発現に対して、SSRIであるシタロプラムを両側扁桃体基底核に局所投与し、不安行動であるfreezingが抑制されるかどうかを検討した。その結果、シタロプラムの局所投与はfreezingを用量依存的に抑制し、SSRIは「扁桃体基底核に作用して、記憶に依存する不安を抑制する」という作業仮説を支持する結果が得られた。平成25年度には、「SSRIが扁桃体基底核のどの5-HT受容体サブタイプに作用するか」を明らかにするため、SSRIの扁桃体基底核への局所投与の効果が、5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬の同時投与によってキャンセルされるかどうかを検討する予定であった。しかし、研究代表者である泉が、平成25年4月から平成26年3月まで米国Albert Einstein医科大学精神科に留学し、monoamine代謝酵素であるCOMTをマウスの脳内で強制発現させて、不安行動に対する影響を調べる研究に従事したため、5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬を用いた実験は中断した。平成26年度には、平成25年度に予定していた5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬のSSRIとの同時投与実験を行う。これにより、SSRIの抗不安作用および扁桃体5-HT神経系の不安における役割を明らかにする予定である。 (2)平成24年度には、ラット扁桃体スライスで、パッチ・クランプを用いた単一細胞PCR法を確立し、さらに5-HT1A受容体を有するニューロンを同定することに成功した。平成25年度には、「扁桃体基底核において、5-HT1Aおよび5-HT2A受容体を有するニューロンの電気生理学的特性」を検討することにより、SSRIの抗不安作用の詳細な機序を調べる予定であった。しかし、上述の事情により行うことができなかったため、平成26年度に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者である泉が、平成25年4月から平成26年3月まで米国Albert Einstein医科大学精神科に留学し、monoamine代謝酵素であるCOMTをマウスの脳内で強制発現させて、不安行動に対する影響を調べる研究に従事したため、5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬を用いた実験は中断した。平成26年度より当初の計画に従って再開の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、平成25年度に予定していた、ラットの文脈的恐怖条件付けの発現に対する5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬のSSRIとの同時投与実験を行う。さらに、5-HT2Cおよび5-HT3受容体阻害薬の扁桃体基底核への局所投与が、不安行動であるfreezingを抑制するかどうかも検討する。これにより、SSRIの抗不安作用を明らかにすると共に、扁桃体5-HT神経系の不安における役割を明らかにする予定である。また、平成24年度までに確立した単一細胞PCRの手法を用いて、「扁桃体基底核における5-HT1Aおよび5-HT2A受容体を有するニューロンの電気生理学的特性」を検討することにより、SSRIの抗不安作用の詳細な機序を調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者である泉が、平成25年4月から平成26年3月まで米国Albert Einstein医科大学精神科に留学し、monoamine代謝酵素であるCOMTをマウスの脳内で強制発現させて、不安行動に対する影響を調べる研究に従事したため、5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬を用いた実験は中断した。米国留学中は、留学先の研究室の設備と消耗品を使用して研究を行うことができたため、平成25年度の科研費使用額は当初の予定よりも少なくて済ますことができ、その分を平成26年度に繰り越した。 26年度には、平成25年度に予定していた5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬のSSRIとの同時投与実験を行う。また、ラット偏桃体スライスを用いた単一細胞PCRを行う。そのために必要なラット、5-HT1Aおよび5-HT2A受容体阻害薬等の試薬、PCRやパッチクランプを行うために必要な消耗品を購入する。
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