研究課題/領域番号 |
24591675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
垣内 千尋 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90342766)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アドレノメジュリン / 統合失調症 |
研究概要 |
統合失調症は、生物学的な病態の解明が急務な疾患である。我々はかつて統合失調症一卵性双生児不一致例リンパ芽球を対象とした研究から、アドレノメジュリン遺伝子が病態に深く関与している可能性を見出した。本研究は、統合失調症患者及び健常対照者を対象としてアドレノメジュリン遺伝子のDNAシークエンスおよびDNAメチル化解析を行い、DNA変異、あるいはDNAメチル化の違いが病態に関与しているかを明らかにするものである。そのため、アドレノメジュリン遺伝子のシークエンスによる変異の同定、アドレノメジュリン遺伝子のメチル化解析、血漿アドレノメジュリン濃度測定を計画していた。平成24年度は、まずはrare variantの同定を目指し、統合失調症患者多数例を対象としてアドレノメジュリン遺伝子について次世代シーケンサーmiSeq(イルミナ社)を用いたターゲッテッドリシークエンスによる変異検索をすすめた。現在285例のアドレノメジュリン全エクソンについての実験が終了し、引き続きの実験と並行して解析をすすめている。また、DNAメチル化解析については、以前我々がアドレノメジュリン遺伝子のmRNA発現量の患者における上昇を見出した一卵性双生児統合失調症不一致例二組についてイルミナ社のHuman Methylation450を用いてパイロット実験を行った。同アレイには19箇所のアドレノメジュリン遺伝子領域上のメチル化サイトがあるが、いずれの不一致例においてもβ値0.2以上のものはみられていない。少なくともアレイ上のメチル化サイトは不一致例間のアドレノメジュリンmRNAの発現量との関係は乏しいと考えられた。今後は引き続き、まずはrare variantの同定を目した実験をすすめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アドレノメジュリンの統合失調症における病態と関係する可能性のあるrare variantの同定を目標とした実験は、本研究テーマの中心であり、現在、285例の全エクソンについての実験が終了している。実験系の立ち上げから開始したものであり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは本研究の中心課題であるアドレノメジュリンの統合失調症における病態と関係する可能性のあるrare variantの同定を目標とした実験および解析を引き続きすすめる。病態に関係しうる変異を同定することができれば、健常対照においての変異の有無を、公的なデータベースおよび我々の有しているサンプルを用い、確認する。統合失調症にのみ見られる場合は、その変異の病態への機能的意義について検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
アドレノメジュリンの統合失調症における病態と関係する可能性のあるrare variantの同定を目標とした実験のための消耗品のために主に使用する。
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