研究課題/領域番号 |
24591676
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
文東 美紀 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00597221)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エピジェネティクス |
研究概要 |
I. 健常者死後脳からの神経細胞由来の核画分調整 条件検討を行うために、まず健常者の死後脳1名分を使用して実験を行った。脳組織をホモジナイズ後、パーコール密度勾配遠心法を用いて、生化学的に細胞核画分を調整した。蛍光色素Alexa Fluor 488で標識した、神経細胞の核を特異的に検出する抗NeuN抗体を用いて、核画分の染色を行った。セルソーター(BD社製FACSAria II)を使用し、NeuN陽性核を分画後、神経細胞分画としてDNAを調整した。また、同様にNeuN陰性核を、非神経細胞分画としてDNAを調整した。 II. ビオチンーアビジン系を用いた5-ハイドロキシメチルシトシン(5-hmc)を含むDNA断片の濃縮 得られたDNAをCovaris社製のアコースティックソルビライザーを用いて断片化を行った後、5-hmcのグルコシル化およびビオチン付加を行い、アビジンビーズを用いて5-hmcを含むDNA断片の濃縮を行った。 III. 次世代シーケンサーを用いた配列決定 得られた5-hmc DNA断片は、アダプターに適切なタグをつけ増幅を行うことにより、シーケンス用のライブラリーを作製した。次世代シーケンサー(Illumina社製HiSeq)を用いて、シークエンス情報を得る時点まで終了している。現在、得られたリードに関して厳密なquality control後、ヒトゲノム参照配列にマッピングを行い、適切なpeak callアルゴリズムを用いて5-hmc化領域を決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度に予定していた死後脳からの細胞核調製、NeuNマーカーによる神経・非神経由来核のソーティング、5-hmcを含むDNA断片の調製までは終了しており、25年度分に予定していた次世代シーケンサーによる解析も一部前倒しで始めている。
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今後の研究の推進方策 |
I. 配列情報の解析 1) 5-メチルシトシン領域の情報を加味した解析。既に取得済みの5-メチルシトシン領域と、新たに得られた5-hmc領域の重複度合いや、量比などについて解析を行う。また、健常者と比較して変異が認められている5-mc領域に関して、その近傍の5-hmc修飾状態を定性的・定量的に解析を行う。2)全5-hmc量についての解析。患者・健常者について染色体ごと、あるいはより微細な染色体構造領域ごとに分割して比較を行い、5-hmc領域の量的な差異が体系的に認められるかどうかを検討する。3)領域特異的5-hmc変異についての解析。特定のゲノム領域について、患者群での変動が有意に認められるか、統計的に解析を行う。 II. 領域特異的な5-hmc変異の検証実験 現在のところ領域特異的な5-hmc変異の標準的な定量法は存在しない。申請者らは5-hmcを含む配列を認識して切断する制限酵素PvuRts1Iと、定量PCRを組み合わせた定量系を確立している。本実験系を用いて、領域特異的な5-hmc変異についての検証実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次世代シーケンサー用ライブラリー調製試薬120万円、分子生物学用試薬30万円を使用予定である。
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