研究課題
統合失調症リスク遺伝子NRGNは、統合失調症の大規模な全ゲノム関連解析(GWAS)により見出されたものである。日本人サンプルにおけるNRGN遺伝子と統合失調症との関連について検討し、統合失調症リスク遺伝子NRGNの、rs12807809-rs12278912ハプロタイプが、日本人において統合失調症と関連していることを見出した。次に、このリスクハプロタイプの遺伝子発現に対する影響を、リンパ芽球細胞を用いて検討したところ、統合失調症のリスクとなるTG ハプロタイプが、TAハプロタイプより、NRGNの発現が低い事を見出した。さらに、リスク多型の機能を検討するため、統合失調症の中間表現型である脳構造画像と認知機能に関して解析を行った。その結果、リスク多型が、前帯状皮質の灰白質の体積と認知機能とも関連している事を見出した。これらの結果は、統合失調症のリスクとなるNRGN遺伝子の中間表現型は脳構造画像と認知機能であり、統合失調症の脳構造と認知機能に関与する遺伝子であることを示唆した。また、統合失調症のリスクとなるTG/TGディプロタイプが、TA/TAディプロタイプよりも、知的機能が障害されていることを見出した。一方で、統合失調症の成人の死後脳の前頭前皮質におけるNRGNのmRNAの発現レベルは、健常群と比較して有意差を認めなかった。以上より、NRGN遺伝子は統合失調症の脳構造の変化や認知機能の障害と関連があることが示唆された。しかしながら、統合失調症の病態メカニズムへの関与は、翻訳レベルにおける変化によるものではない可能性が示唆された。
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