研究課題/領域番号 |
24591683
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小澤 寛樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (50260766)
|
研究分担者 |
木下 裕久 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (10380883)
黒滝 直弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (20423634)
今村 明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (40325642)
巽 理恵 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40584727)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 神経幹細胞 / 気分障害 / 培養細胞 / 神経新生 / 変成疾患 / メチルフェデート / ADHD / オメガ3脂肪酸 |
研究実績の概要 |
気分障害におけるG蛋白質機能を介した脳内情報伝達系不均衡仮説を臨床的に実証するため、内在性神経幹細胞を活性化する薬剤を気分障害患者に投与し、その臨床効果を明らかにする。同時に気分障害の診断・治療予測に関連する生物学的マーカーの検索及び基礎的実験として神経幹細胞における各薬剤の反応の違いを比較検討することを目的に研究を実施した。 神経幹細胞に向精神薬の効果を確認するためADHDに広く用い入れられ治療抵抗性うつに有効なメチルフェニデート(MHP)について、胎生マウスの海馬培養細胞より神経幹細胞を単離し、臨床血中濃度であるMHP 1-10nMにおいては幼若神経細胞が増加し、100nMの高濃度では減弱した。一方、どの濃度においてもグリア細胞の分化には影響せず、増殖に関してはBrdu陽性細胞すべての濃度において減少していた。上記の結果はMHP治療濃度においては神経細胞の分化は促進し、高濃度では抑制し、グリアへの分化には影響が少なかった。増殖能に関しては抑制的であることを示唆している。この結果をJournal of Molecular Psychiatryに掲載した。さらに、MPHの投与している抑うつ症状を有するADH患者におい血中脂肪酸のうち、EPAおよびEPA/AA比の検査値に低い傾向が見ら、EPAが生物学的マーカの可能性および神経新生との関連性が報告されているω3脂肪酸と内在性神経幹細胞の関連性が示唆される。また。気分障害に有効な修正型通電療法が変性疾患であるハンチントン舞踏病の臨床症状を劇的に改善させたことを報告した。このことは精神疾患の病因の背景に緩やかな神経細胞の変性、すなわち内在性の神経幹細胞の代謝が深く関連していることを示唆していると考えられ、これらの結果は精神疾患、特に気分障害の難治化のプロセスに内在性神経幹細胞の分化・増殖能といった神経細胞代謝が深く関り、ここを作用点とした薬剤が新規気分障害治療薬としての可能性を有していると推察された。
|