研究実績の概要 |
若年性ミオクロニーてんかん(JME)は、思春期(8〜20歳)に発症し、ミオクロニー発作、強直間代発作などを特徴とする最も頻度の高い特発性てんかんの一つである。申請者らは、原因遺伝子の一つとして新規の遺伝子EFHC1の同定に成功した (Suzuki et al. Nature Genetics, 2004)。さらに、申請者を含む研究チームは、新たな4種類の疾患変異を発見し報告した。また、EFHC1の疾患変異は、JMEのみならず、若年性欠神てんかん、潜因性の側頭葉てんかん、さらに非分類型の特発性全般てんかんからも見つかっている。このことより、EFHC1はJME発症に関与しているだけでなく、特発性全般てんかんの痙攣誘発に広く関与している可能性もでてきている。有効な治療法の開発のためには、疾患成立機序を解明することが必要であることから、本研究では、Efhc1コンディショナルノックアウトマウスと目的の細胞種でCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスを用いることで、EFHC1遺伝子変異によるてんかん発症メカニズムの解明につなげる知見を得ることを目的としている。本年度は、ヘテロ接合体 (ヘテロ) のflox:Cre (+)における自然誘発性のけいれん発作の頻度を脳波、筋電図およびビデオで撮影し観察することで検討し、統計的に対照群と比較した。また、けいれん誘発剤の一つであるペンチレンテトラゾール(PTZ)により誘導されるけいれんに対する感受性についてもヘテロ接合体、ホモ接合体のflox:Cre (+)マウスおよび対照群のマウスを用いて検討した。けいれん感受性の評価は、けいれん誘発剤投与からミオクロニー発作、間代発作、全身性の強直・間代発作が観察されるまでのそれぞれの時間を測定し、統計的に対照群と比較検討した。
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