研究概要 |
健常被験者およびうつ病患者を対象に、脳内ノルエピネフリントランスポーター(NET)の神経伝達機能をみるために、[F-18]FMeNERD2をリガンドとするpositron emission tomography (PET)検査を施行し、脳内NETの結合能を測定した。形態および安静時の機能的MRIを施行し、神経ネットワークの機能的連結の度合いを測定した。さらに、うつ病に関する症状や注意機能等に関する認知機能検査を施行した。まず、20歳以上80歳未満の精神神経疾患の既往がなく、治療中の身体疾患を持たない健常志願者30名の検査を施行し、性差と加齢変化の影響などの基礎的検討を行った。その結果、30名の健常者(男性15名:平均年齢45.8歳, 標準偏差[SD]19.0歳、範囲21–76歳;女性15名:平均47.3[17.5]歳、範囲22-70歳)の視床および青斑核の結合能について、有意な性差は認められなかった(unpaired t-test, 視床:男性0.66[0.12],女性0.70[0.13], p = 0.50; 青斑核:男性0.44[0.21], 女性0.40[0.16], p = 0.52)一方で、視床と青斑核での結合能には有意な加齢変化を認めた(Pearson’s correlation, 視床:r = -0.649, p = 0.000; 青斑核 r = -0.534, p = 0.002)。平成25年度には未治療の20歳から60歳までのうつ病患者の募集も開始し、平成25年度末までに9名の未治療うつ病患者の検査を行った。健常者と同様に脳内のNETの結合能、認知心理機能、安静時の機能的MRIの測定等を行っている。
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