研究課題
研究目標(1)これまでに緊張病性昏迷として診断・加療されてきた症例や、てんかんと精神症状の合併した症例、難治例の統合失調症として修正型電気けいれん療法を施行されてきた症例の中に抗NMDA受容体脳炎に原因がある場合を考えており、その仮説を検証する。(2) 視床下部に病変がある2次性の過眠症での髄液ヒスタミン値を検討し、過眠症状の指標となり得るか検討する。研究結果(1)NMDA受容体抗体が陽性な症例は、現在のところで、緊張病で11例中の7例、精神症状を伴うナルコレプシーで5例中の3例、精神症状の無いナルコレプシーで10例中2例が陽性、反復性過眠症で10例中1例が陽性であった。非定型精神病で120例中の8例、修正型電気けいれん療法を施行されてきた症例の中で70例中2例を認めている(他のグループと症例の重複あり)。総計で180例中の25例が陽性であった。(一部はTsutsui2012)また研究連携を行っている金沢医大では、精神科の医療機関から計482検体の検査依頼があり、うち187検体が髄液で、陽性例が19例であった。血清では296検体の依頼があり、26例が陽性であった。現在は陽性例と陰性例での症状や病歴の比較検討を行っている。(2)ヒスタミンに関しては、パーキンソン症候群に含まれる、MSA(多系統萎縮症:59例)、PSP(進行性核上性麻痺:4例)、CBD(大脳皮質基底核変性症:3例)を検討した。オレキシン値は199-345pg/mlと正常範囲内であったが、ヒスタミン値はMSAが平均で2600pg/mlであったのに比べて、PSPは351pg/ml、CBDは306pg/mlと低値であった。またオレキシン値とヒスタミン値に相関は認められなかった。MSAに比べるとPSPの過眠症状は強いことを反映している可能性を考えている。またシヌクレイノパチーであるMSAとタウオパチーであるPSP, CBDでの差異を認めており、パーキンソン症候群の中でも鑑別診断が困難である両群の鑑別検査の一助になる可能性検討している。
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