研究課題
平成26年度ではまず、前年度に作成した子宮内仮死モデルの6、12週齢の仔の前頭前野と海馬のmRNAから作製したcDNAサンプルを使用し、統合失調症関連因子として知られている5因子(NRG1、ErbB4、AKT1、COMT、BDNF)の発現変動をreal-time PCRを用い検討した。内在性のコントロールとしてはGAPDHを使用した。その結果、6、12週齢の前頭前野におけるNRG1の発現量が有意な差を持って減少していた。一方でCOMTの発現量が12週齢で有意に増加していた。次いで、それぞれの因子に対する抗体を用い、ウエスタンブロッティング法によりタンパク質の発現量を検討したが、NRG1やCOMTにおいて発現量の変動は確認されなかった。これまでの結果より、子宮内仮死モデルでは統合失調症脆弱性因子であるNRG1、COMTのmRNAの発現量が前頭前野で変動するものの、定常状態ではタンパク質の発現量に影響を与えるものでもなく、またミクログリアの発現量に変化が見られないことが明らかとなった。そこで当初の予定通り研究が進まなかったため、他の統合失調症のモデル動物である胎生期感染モデルにおいてミクログリアが活性化するかどうかを検討した。胎生期13日目に20 mg/kg poly i:Cを投与し産まれてきた仔が8週齢になった時点でIba1抗体を用いミクログリアを染色しミクログリアの活性化を形態学的に検討した。その結果、前頭前野においてミクログリアの細胞数が増加し、また細胞体が肥大化し、突起が太く短くなっているameboid型のミクログリアが数多く観察された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件)
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