低酸素を伴う周産期合併症は統合失調症の疫学研究が示す発症危険因子である。一方この病の病態には、活性化,ミクログリアの関与が示唆されている。本研究では、統合失調症の動物モデルとして出生時低酸素曝露ラットを用い、統合失調症感受性遺伝子の脳内発現とミクログリア活性化について検討した。その結果、このモデルでは内側前頭前野においてニューレグリン遺伝子NRG1のmRNA発現が低下し、カテコールOメチル化酵素遺伝子COMTのmRNA発現は増加していることを見出した。しかしミクログリアの活性化に有意な変化はなかった。出生時低酸素曝露刺激が統合失調症発症リスクを高める機序については、更なる検討が必要である。
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