研究課題/領域番号 |
24591707
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野間 俊一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40314190)
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研究分担者 |
上床 輝久 京都大学, 保健管理センター, 助教 (20447973)
杉原 玄一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70402261)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 摂食障害 / 脳機能画像 / 衝動性 / 報酬系 / 自閉症傾向 |
研究実績の概要 |
過食を伴う摂食障害患者には、薬物依存、自傷、買物強迫、窃盗癖、性的乱脈といった衝動行為の合併が多いため、摂食障害患者の衝動制御障害の神経基盤を明らかにすることを目的として研究を遂行した。 京大病院精神科神経科にて加療中の女性患者のうちDSM-IVで摂食障害と診断される者と年齢をマッチさせた健常対照群に対して、各種心理検査および機能性MRI(fMRI)検査を施行した。 1つの成果は、摂食障害患者の脳内報酬系の脳活動に関するものである。20代~40代の11名の摂食障害患者(神経性無食欲症・制限型5名、神経性無食欲症・過食排出型4名、神経性大食症2名)と14名の女性健常者を対象にmonetary incentive delay task (Knutson et al 2008) を実施し、fMRIにて脳活動を測定したところ、疾患群は報酬は罰への感受性との関連が指摘される左眼窩前頭皮質において有意に活動が高く、摂食障害患者では報酬や罰の予測において過敏に反応する傾向がしさされた。 もう1つの成果として、摂食障害患者の脳構造変化と自閉症傾向に関するものが挙げられる。上記研究と同じ11人の摂食障害患者と12人の女性健常者に対して、自閉症スペクトラム指数(AQ)および頭部MRI検査を実施して両群を比較したところ、AQは疾患群が有意に高得点を示した。脳構造については、疾患群は健常群と比較して、社会認知や遂行課題と関連する背側前帯状皮質、左背外側前頭前皮質の体積減少を認め、社会行動の制御や報酬価値の判断と関連するとされる左眼窩前頭皮質の体積増加を認めた。以上より、摂食障害患者の社会機能低下の背景として、自閉症傾向および社会性に関する脳構造の変化の影響が示唆された。 これらの知見は、2015年6月に開催される第111回日本精神神経学会学術集会ならびに第56回日本心身医学会総会にて発表予定である。
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