研究課題
特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus: iNPH)患者には生活の質や介護者の介護に影響を及ぼす可能性のある、精神症状がみられる。iNPHはシャント手術にて認知機能障害、歩行障害、排尿障害が改善する疾患であるが、この手術により精神症状が改善するか、また精神症状と介護負担の関連がどうなるかを調べた。シャント手術を受け、術後3か月の経過観察を行った、22名のiNPH患者に対し、Neuropsychiatric Inventory (NPI)とZarit Burden Interview (ZBI)を用いて、術前と術後3か月の時点の精神症状と介護負担を評価した。そして、このNPIとZBIの術前と術後3か月の変化およびこれらの2つの変化と認知機能障害、歩行障害、排尿障害の術前と術後3か月の変化の関連を調べた。結果は次の通りである。①NPIの合計点、アパシーの得点、うつの得点は手術の後で有意に改善した。②NPIの合計点、アパシーの得点、脱抑制の得点、易刺激性の得点の術後3か月の改善はZBIの術後3か月の得点の改善と有意に正の相関がみられた。③アパシーの得点の改善は前頭葉機能を評価する、Frontal Assessment Batteryの術後3か月の改善と有意に相関した。以上より、シャント手術はiNPHの認知機能障害、歩行障害、排尿障害の改善のみならず、精神症状の改善にも効果があり、精神症状の改善はiNPH患者の介護負担の軽減にもつながることを明らかにした。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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