統合失調症群に6ヵ月間の認知矯正療法NEARを行い、認知課題中の光トポグラフィーで測定した脳血液量変化(信号)を指標に生物学的効果を検討した。作業記憶課題では、治療後に左背外側前頭前野等の3領域で信号は有意に増加し、かつ通常治療群との間で群×時間の有意な交互作用を認めた。治療前後の差分間の相関から、右側頭部と言語記憶、右前頭極部と語流暢が関連した。以上の結果、NEARは統合失調症の作業記憶関連領域を“正常化”する可塑性をもたらすこと、認知機能改善は脳機能改善に基づくことが示唆された。他方、語流暢課題で信号は減弱し、NEARは課題依存性のダイナミックな変化を起こす可能性が考えられる。
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