研究課題
岡山県内の精神科病院を対象として、非経口的な栄養摂取で生命維持を行っている入院患者の実態調査を行った。岡山県下にある20の精神科病院のうち、18病院から参加協力を得た。平成26年2月17日時点で、1ヶ月以上、非経口的な栄養摂取を継続している入院患者を調査の対象とした。岡山県下の精神科病院が有する病床数(内科病床を除く)は5235床であり、その内4658床(89.0%)を調査対象とした。その時点での入院患者数は18病院を合わせて4,101人(男性2,007人・女性2,094人)であり、1ヵ月以上に亘って継続的に非経口的栄養摂取を受けている入院患者は221人(全入院患者の5.4%)であった。この221人のうち,187人(女性130人・男性57人)について詳細な調査が行われた。187人の平均年齢は78.3+-11.0歳であり、非経口的な栄養摂取の継続期間は、平均29.8+-31.0ヵ月(中央値は20ヵ月)であった。非経口的な栄養摂取の方法としては、胃瘻101人(54.0%)、経鼻胃管69人(36.9%)、中心静脈栄養16人(8.6%)、腸瘻1人(0.5%)であった。対象患者の病名は、アルツハイマー型認知症が78人(41.7%)と最多であり、脳血管性認知症も26名(13.9%)を占めていたが、統合失調症の患者も37人(19.8%)認められた。統合失調症で、長期に非経口的な栄養摂取を受けている患者が居ることを明らかにしたのは、本研究が世界で初めてである(Hirao et al., 2016)。また、MMSE得点を見ると、0点が135人(72.2%)と多数であったが、15点以上の者も10人(5.3%)認められた。患者の臨床像は非常に多彩であり、「非経口的な栄養摂取を持続的に受けている患者」を一纏めにして画一的に述べることは避けるべきである。
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