研究課題
研究は予定通りに進展している。まず治療同意能力に関しては、昨年度すでに、治療同意能力の評価法であるMacArthur Competence Assessment Tool-Treatment (MacCAT-T)の日本語版を作成していたが、本年度はMacCAT-Tを用いて多数例での調査を行い、その成果を学会で発表した(学会発表13)。また、虐待に繋がりやすい介護負担についても調査を行い、軽度認知障害の患者においても、言葉による虐待は少なくないことを明らかにした(文献3)。さらに、物忘れ外来での検討から、アルツハイマー型認知症患者における抑うつ症候が、左前頭葉背外側の機能低下を背景としている可能性を示した(文献2)。さらに、Trail Making Testの成績が局所脳血流と密接に関連していることを示すなど(文献1,文献4)、新たな知見を多く得て報告することが出来た。初年度に引き続き、大きな成果を挙げている。
2: おおむね順調に進展している
認知症に罹患した高齢者の人権を守るという視点から研究を行い、2年間で大きな成果を得ている。認知症高齢者の虐待について、本邦で初めて多数例を対象とした調査を実施し、虐待の危険因子を明らかにした。また、ケアの在り方と患者のQOL(quality of life; 生活の質)が関連することを示し、パーソンセンタード・ケアの重要性を明らかにした。治療同意能力に関しても、本邦で初めて多数例を対象とした調査を実施し、発表している。虐待に繋がりやすい介護負担に関しても、その危険因子を報告した(文献3)。さらに、認知症高齢者における精神症候の基盤や、各種心理検査の神経基盤に関しても多くの報告を行っている(文献1,文献2,文献4)。
平成24年度および平成25年度に得られた成果を基にして、平成26年度も研究を進めていく。治療同意能力に関しては多数例での調査を終えており,詳細なデータ解析を行って、論文として発表したい。うつ症候や介護負担に関しても、前年度までの調査を踏まえて、より詳細な検討を行い、成果を発表していく予定である。さらに、基礎的な検討として、大脳白質病変と脳血流や認知機能との関連についても調査を続け、各種心理検査の神経基盤に関しても調査を続けていく。また現在、非経口的な栄養摂取を受けている認知症高齢者の実態調査を行っている。岡山県下の精神科病院から協力をいただき、多数例での調査を行う予定である。
平成25年度は、多数例を対象とした心理検査・アンケート調査を実施するために予定していた人員雇用が予定より少ない金額で済んだために、繰り越し金が生じた。平成26年度は、データ管理やデータ入力を実施できる人も雇用する予定であり、繰り越した金額も含め予算を組んでいる。そのため、かなりの人件費支出を予定しており、予算の多くを占めている。さらに、関連する書籍や文献入手のために予算も計上している。また、学会発表や論文投稿も予定しており、そのための出張費用や雑費も予算に含めている。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 1件)
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