研究課題/領域番号 |
24591715
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山下 英尚 広島大学, 大学病院, 講師 (50294591)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳血管性うつ病 / 抑うつ気分 / アパシー / 神経回路網 / 脳幹 / 基底核 / 左側前頭葉 |
研究概要 |
脳卒中発症後3ヶ月以内にリハビリテーションのために入院した149名の脳卒中患者を対象として、年齢、性別、体重、血液生化学的検査、初発年齢、罹病期間、服薬薬剤などの背景因子、ならびに抑うつ症状およびアパシーの重症度を自記式評価(HADS:Hospital Anxiety and Depression Scale, AS:アパシースケール)、脳血管障害の評価として頭部MRIを施行した。機能的自立度の評価としてFunctional Independence Measure:FIMを評価した。 抑うつ症状およびアパシーと脳血管障害の病変部位との関連を検討するために、上述の背景因子や機能的自立度を共変量としてStatistical Parametric Mapping (SPM)を用いて検討したところ、抑うつ症状とは脳幹、左側基底核、左側前頭葉皮質の病変が有意に関連していた。一方でアパシーとは脳幹および両側基底核の病変と有意に関連していた。脳幹と基底核の一部の病変は抑うつ症状およびアパシーの両者と関連していた。 本研究の結果からは脳卒中後うつ病で頻繁に認められる症状である抑うつ気分と意欲低下に関連した神経回路網は一部共通部分があるものの、全体的には別の神経回路網によって制御されていることが明らかとなった。本研究で明らかとなった神経回路網の異常と抑うつ気分および意欲低下の症状の特徴からは抑うつ気分はセロトニン神経系の異常、意欲低下はドパミン神経系の異常が基盤にあることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳血管性うつ病患者を対象に脳血管障害の部位と抑うつ気分、アパシーとの関連を同定できているため。
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今後の研究の推進方策 |
上述の神経回路網の異常、抑うつ気分、アパシーの重症度とADL、認知機能、神経伝達物質との関連を検討して脳血管性うつ病の病態および、治療技法についての検討をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度までの検討を継続して症例数を増やすとともに、認知機能、神経伝達物質などの測定をおこなう。 研究成果の報告、研究の進め方に関する議論や情報収集のために国内、国外の学会に参加する。
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