研究課題/領域番号 |
24591715
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山下 英尚 広島大学, 大学病院, 講師 (50294591)
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キーワード | 脳血管性うつ病 / 注意機能 / 視床 / 基底核 / アパシー / 抑うつ気分 |
研究概要 |
脳卒中発症後3ヶ月以内にリハビリテーションのために入院した115名の脳卒中患者を対象として、年齢、性別、体重、血液生化学的検査、初発年齢、罹病期間、服薬薬剤などの背景因子、ならびに全般的な認知機能および注意機能を標準注意機能検査法(the Clinical Assessment for Attention; CAT)、抑うつ症状およびアパシーの重症度を自記式評価(HADS:Hospital Anxiety and Depression Scale, AS:アパシースケール)、脳血管障害の評価として頭部MRIを施行した。機能的自立度の評価としてFunctional Independence Measure:FIMを評価した。 認知機能および注意機能と脳血管障害の病変部位との関連を検討するために、上述の背景因子や機能的自立度を共変量としてStatistical Parametric Mapping (SPM)を用いて検討したところ、視覚的な注意機能の障害と右半球の病変、その他の注意機能の障害とは左半球の病変が有意に関連していた。また、皮質の病変は部位も多岐にわたり、注意機能の成績と相関も認められなかったが、優位半球の視床から基底核にかけての病変は本研究で施行した全ての注意機能の成績と相関していた。 本研究の結果からは脳卒中後うつ病で頻繁に認められる症状である認知機能や注意機能の障害は優位半球の視床から基底核を中心とした回路によって制御を受けており、意欲低下に関連した神経回路網と一部共通していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳血管性うつ病患者を対象に脳血管障害の部位と抑うつ気分、アパシー、注意機能障害との関連を同定できているため
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今後の研究の推進方策 |
上述の神経回路網の異常、抑うつ気分、アパシーの重症度、ADL、認知機能、注意機能障害、神経伝達物質の異常との関連を検討して脳血管性うつ病の病態および治療技法についての検討をおこなう
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次年度の研究費の使用計画 |
血液学的検査、消耗品などの単価の若干の変動があり、残額が生じた。 本年度の研究計画に沿って採血、消耗品などに使用する。
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