研究分担者 |
大朏 孝治 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10535256) [辞退]
山形 弘隆 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10549934)
綿貫 俊夫 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (80610865)
松原 敏郎 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60526896)
内田 周作 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10403669)
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研究実績の概要 |
昨年度の報告から、白質構造を測定するdiffusion tensor imaging(DTI)より短い脳体積測定(voxel-based morphometry; VBM)のためのMRIシークエンスを優先し、DTIは測定で可能な被験者のみを行った。今年度末現在、双極性障害患者は、MRI画像は40名、そのうち14名のDTIが測定できた。また、健常者は60名測定することができた。現在VBMおよびDTI画像は解析中である。また、血液データについては被験者サンプル終了後に遺伝子解析を行っていく。 最近得られた成果は、VBMについては、遺伝的要因の関連を調べるために、発症していない患者家族の協力を得て解析を行った。双極性障害の違いを調べるために同じ気分障害であるうつ病患者とその家族からMRIデータを撮像した。対象は27名の気分障害(10名は双極性障害、17名はうつ病)、27名の未発症患者第1親等(10名のBD家族、17名のうつ病家族)、27名の健常者を用いた。その結果、双極性障害患者およびその家族と健常者の間で、有意な診断の影響が認められる部位は、左島領域灰白質体積(x = -39, y = 19.5, z = -1.5, F = 29.34, k = 103, pFWE-corr < .01) と左前部帯状回近傍の内側前頭前野灰白質体積(x = -1.5, y = 48, z = -7.5, F = 22.96, k = 13, pFWE-corr = .01) がみられた。その後の検定で、双極性障害患者が、患者家族および健常者と比べ、左島領域灰白質が小さく、患者および患者家族は、健常者と比べ、左前部帯状回灰白質体積が小さかった。うつ病では有意な関連する部位はみられなかった。このことから気分調整に関わる前部帯状回、島領域の体積異常が双極性障害患者およびその家族でもみられ、このことはうつ病より双極性障害で脳体積異常に遺伝的要因が関与していることが示唆された。
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