研究課題/領域番号 |
24591718
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
上村 直人 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (10315004)
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研究分担者 |
下寺 信次 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (20315005)
池田 学 熊本大学, その他の研究科, 教授 (60284395)
篠森 敬三 高知工科大学, 工学部, 教授 (60299378)
藤田 博一 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (70380326)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 認知症 / 運転能力 / レビー小体型認知症 |
研究概要 |
研究対象は97名(平均年齢71.7才、平均MMSE21.6点、認知症重症度別では認知症無し:14名、ごく軽度認知症:53名、軽度認知症:11名、中等度認知症:19名)である。背景疾患別はアルツハイマー型認知症:11名、前方型認知症:3名、血管性認知症:12名、レビー小体型認知症:13名、軽度認知障害:27名、高次脳機能障害:7名、その他の精神疾患24名。使用した機器は共同研究者である篠森が、モニター画面を用いて工学的に作成したものである。本機器は視覚認知機能を反映する注意課題検査機器であり、本機器はボタン押しにより簡便に視覚認知機能を測定することができる。課題として注意課題をモニター上に追加した場合としない場合で比較検討を行った。検討結果から、開発した視覚機能検査を用いた分析から、注意課題の有無により、MMSEやCDRなど認知機能との関連性が変化していた。また標準偏差比(注意課題有無に対する有時の位置決め標準偏差)とMMSEの関係では、レビー小体型認知症群(8名)で統計的に有意な相関が認められた(P=0.027)。これらの検討から、注意課題なしでは、MMSEやCDRなど客観的な認知機能指標と関連せず、鑑別・分離が困難であったが、注意課題を更に加えることで、認知機能を反映した鑑別が可能となり、特にDLBでは統計学的に有意であった。血管性認知症やアルツハイマー型認知症ではMMSE,CDRから注意機能を予測することは困難であった。これまでの先行研究において、注意機能は運転能力や交通事故との関連性が指摘されており、本視覚注意課題は運転能力の予測指標として有効であると思われる。また、我々は運転能力評価機器を開発し、さらにレビー小体型認知症の運転能力の予測指標を抽出ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症及び認知機能低下を来たしたドライバーの運転能力を測定する機器を開発した。 そして、レビー小体病という注意機能低下や変動を来たしやすい疾患群において特異的な指標を抽出できたことは本研究課題の初年度目標を大いに超える結果であった。またレビー小体型認知症のみではなく、アルツハイマー型認知症や血管性認知症、高次脳機能障害といった神経障害の基盤が異なる疾患との鑑別が可能である点でも大きな成果を得られたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は更にレビー小体型認知症を含めた研究対象者を増やし、その他の神経心理学的指標やドライビングシミュレーターとの妥当性を検討し、運転能力指標・測定方法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は統計解析を含めた計画進捗状況のための研究会議をこれまで以上に開催する予定である。
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