研究課題
3年間の研究期間で、最終的に双極性障害27症例、大うつ病性障害8症例、健康正常人12症例をリクルートすることができた。実際の解析は、双極性障害24症例と健康正常人55症例(過去の研究症例を含む)について、認知機能検査MCCB-Jの結果を比較検討した。背景情報では、年齢において2群間に有意な差が認められた。解析は正準判別分析を行い、p値0.20を基準に変数選択を行った。MCCB-Jの下位検査項目を用いた場合には、2群を判別することが可能であり(p=0.0003)、トレール作成試験パートA(TMT-A)、文字数スパン(LNS)、簡易視空間記憶テスト改訂版(BVMT-R)、マイヤー・サロヴェイ・カルーソー感情知能テスト(MSCEIT)が変数選択された。認知機能ドメインを用いても2群の判別は可能であり(p<0.0001)、処理速度、ワーキングメモリー、視覚学習および社会・感情認知が変数選択された。いずれの結果も、年齢調整後でも変わらなかった。これらの結果は、先行研究と矛盾しないものであり、双極性障害患者における認知機能障害をMCCB-Jを用いて特徴的に検査可能であることを示している。次に、それぞれ12症例ずつの末梢血単核球由来DNAを用いてepigenome-wide association analysisを行ったところ、両群間でメチル化の程度が異なる49のCpG部位を同定し、それらの部位を用いてクラスター解析を行った結果、2群を区別することが可能であった。これらは、双極性障害の末梢血DNAメチレーションマーカーとして有望な候補となりうると考えられた。現在英文にて論文投稿準備中である。
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The Lancet Psychiatry
巻: 1 ページ: 351-359
http://dx.doi.org/10.1016/S2215-0366(14)70314-1